【レビュー】映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』―シリーズ最高傑作!ラストも感涙必至の仕上がり

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(C)Universal Pictures

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ポール・ウォーカーが『ワイルド・スピード SKY MISSION』の完成を待たず、不慮の事故でこの世を去ってから早くも3年以上が経った。未だにその喪失感を拭いきれないファンは多いことだろうが、ヴィン・ディーゼル率いる「ファミリー」は、最高に愉快で、最高にクールな作品として、シリーズ最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』を完成させ、改めてウォーカーへのトリビュートを捧げると同時に、シリーズの新たな始まりを宣言した。

物語はキューバのハバナで幕を開ける。ドミニク(ディーゼル)は記憶を取り戻したレティ(ミシェル・ロドリゲス)とともに幸せに暮らしていたが、サイファー(シャーリーズ・セロン)と名乗る女が現れ、ドミニクに彼が大切にする「あるもの」を見せ、これを奪われたくなければ自身の下で働くように命じる。後日、新たな任務を受けたホブス(ドウェイン・ジョンソン)はファミリーを招聘。一行は無事に任務を遂行するが、なんとサイファーと組んでいたドミニクはホブスを襲撃し、ファミリーを裏切ってしまう。ドミニクを取り戻すため、ファミリーはミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)、そしてデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と共闘するのだが…。

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『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワン監督に代わってメガホンを取ったのは、『ストレイト・アウタ・コンプトン』で高く評価されたF・ゲイリー・グレイ監督だ。過去にカーアクション映画の秀作『ミニミニ大作戦』(セロンがマーク・ウォールバーグらと共演)のメガホンも取ったグレイ監督は、同作で培ったカー・アクションの経験を、膨大な予算によって本作で拡大。3作目の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』以来、シリーズの脚本を手掛け続けてきたクリス・モーガンによる脚本をもとに、観客の度肝を抜くストーリーとアクションを構築している。

ストーリーの屋台骨となっているのは、ドミニクによる裏切りという、まさかの導入だ。無論、誰よりもファミリーを愛するドミニクが、本気で悪に与するわけはない。この背景にはやむを得ない事情があるわけだが、モーガンはこの事情の作り方が実に上手い。シリーズにおける重要人物を再登場させ、その人物が隠していた事実を明るみに出すことによって、ドミニクの裏切りは非常にドラマティックなものとして浮かび上がる。この過程で、ドミニクの感情がこれまで以上に掘り下げられているのも興味深い。過去作品ではドミニクの「怒り」や「愛」「悲しみ」が描かれることはあったものの、本作では今までに描かれることがなかった特別な感情が表出する。なんと彼が涙するシーンも収められており、今までにないドミニクの姿には、ファンの心も熱くなること請け合いだ。

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シリーズには魅力的な悪役が幾人も登場してきたが、セロンが演じたサイファーは独特な輝きを放っている。というのも、彼女は凄腕のドライバーでもなければ、接近戦の名手でもない。彼女はデジタル・テクノロジーの専門家であり、世界最強のハッカーなのである。その腕前には、前作でファミリーに加わったラムジー(ナタリー・エマニュエル)も手を焼くほど。シリーズには観客をアッと言わせるカー・アクションが数多く登場してきたが、サイファーは本作で既存のアクションのスケールを遥かに凌駕する驚きの仕掛けの数々を見せる。ニューヨークで大混乱を巻き起こす「ゾンビ・カー」や、潜水艦の遠隔操作などには、「何でもあり」さで人気を博してきたシリーズのファンでも、驚かずにはいられないはずだ。

そのサイファーにふんしたセロンの演技も言うことなし。これまでに『モンスター』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で圧倒的な演技力を発揮してきたセロンは、悪女のお手本と称すべき好演を見せている。目つき、セリフの発し方、視線の動き、彼女を構成するすべては「ファム・ファタール」としての魅力を発散しており、その悪性の魅力にはクラクラきてしまった。サイファーの魅力には、凡庸な悪役にはない突き抜けた冷酷性も挙げられる。劇中でドミニクは、彼女によって大切なものを奪われるのだが、その奪うという行為に際して、サイファーは微塵の迷いも見せない。この生半可ではない冷酷さがあるからこそ、物語の緊張感が弛むことはない。

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過去作品と比較すると、コメディ性もアップデートされている。これまではローマン(タイリース・ギブソン)とテズ(リュダクリス)が中心となって笑いを生み出してきたが、本作では当代最高のアクション俳優であるステイサムふんするデッカードが、終盤において、華麗なアクションとギャグを同時に披露するという離れ業を見せる。持ち前のキレ味抜群なアクションで敵を蹂躙したかと思えば、爆笑必至のギャグを挿入するデッカードは、「スタイリッシュな笑い」という斬新な要素をシリーズに加えてみせた。

語り尽くせないほどの見どころを誇る本作だが、惜しまれる点もある。それは、サイファーの動機が全く描かれていないことだ。無論、その全てを事細かに描く必要はないのだが、彼女が悪に走った理由の一端は説明されるべきではないのか。というのも、劇中の描写からは、サイファー=「支配欲に憑りつかれたハッカー」という単純なイメージしか浮かんでこないのである。魅力的な悪役とは、その行動原理が存在してこそ確立される。そういう意味において、彼女の過去を匂わせるようなフラッシュバックなどは、少しばかり挿入されてもよかったのではないか?と思わざるを得なかった…。とはいえ、どうやら彼女は引き続きシリーズに登場するようなので、それは今後のお楽しみになっているのかもしれない。

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本作にはもう一点、ファンが気になって仕方ないことがあるはずだ。そう、ウォーカーが演じていたブライアンの存在である。詳しい言及は避けるが、本作のラストにブライアンは登場する。それも実に感動的な、ファンなら涙するしかないような形で。本筋のクオリティの高さはもちろん、最後の最後までファンを満足させようという姿勢こそが、『ワイルド・スピード』シリーズが世界中で愛され続ける所以なのだろう。そんな本作の魅力は、大スクリーンと大音響を備えた劇場でこそ、最大限の輝きを放つ。通常の劇場でも作品の完成度は十分伝わるが、できればIMAXで鑑賞してほしい。そうすれば、この春最高級の映画体験を得られるはずだ。

>『ワイルド・スピード』シリーズを総復習&最新作の見どころは?【PART1】
>『ワイルド・スピード』シリーズを総復習&最新作の見どころは?【PART2】

(文:岸豊)


映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』
大ヒット公開中

監督:F・ゲイリー・グレイ『交渉人』『ミニミニ大作戦』『ストレイト・アウタ・コンプトン』
脚本: クリス・モーガン『ウォンテッド』『ワイルド・スピード』シリーズ(※3作目以降全てを担当)
製作: ニール・H・モリッツ『アイ・アム・レジェンド』『ワイルド・スピード』シリーズ(※シリーズ全作)、ヴィン・ディーゼル、マイケル・フォレスト
出演: ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、ミシェル・ロドリゲス、シャーリーズ・セロン、スコット・イーストウッド、カート・ラッセル、ヘレン・ミレン

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ヴィン・ディーゼル

生年月日1967年7月18日(50歳)
星座かに座
出生地米・ニューヨーク

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シャーリーズ・セロン

生年月日1975年8月7日(42歳)
星座しし座
出生地南アフリカ

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