「なぜ話題にならない!」「マガジン」の隠れた超名作! 重くて泣ける青春スポーツ物語 『6センチの絆』1巻レビュー!

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『6センチの絆』(原作:安達士朗、漫画:中島真/講談社)

 駅伝をテーマにした少年マンガ『6センチの絆』(原作:安達士朗、漫画:中島真/講談社)の第1巻が3月17日に発売されました。同作は「週刊少年マガジン」で2017年第4・5合併号より連載を開始、4月5日発売の第18号をもって早々に完結してしまいましたが、連載終了を惜しむ声もちらほら。少年マンガにしては重くて深い内容が一部の層を虜にしていたようなので、その内容をレビューしていきたいと思います。

 箱根駅伝スタート直前の場面から物語はスタートします。主人公は城東大学2年生の羽柴日出朗。アンカーの第10走者である日出朗はテレビを見ながら、第1走者の4年生・常盤太陽にエールを送っています。「やっと……やっとここまで来たんだ」と気合いが入る日出朗ですが、それには箱根駅伝という大舞台で走るという意味のほかに、もうひとつの意味が隠されていたことが後にわかっていくのです。

 箱根駅伝がスタートすると回想シーンに突入。さかのぼること14カ月、まだ日出朗が1年生の頃でした。1年にして既に上級生と肩を並べる走りをしている日出朗。しかし自分の実力に驕ることなく、周りが少しちやほやしても表情を緩めることなく黙々と練習をこなし、部員たちがカラオケなど遊びに誘っても断って練習。ストイックで理想的な姿勢ですが、部員の中にはこれを「かわいくない」「天狗」と思う者も。日出朗の不器用な生き方が敵を作ってしまっているようです。

 自転車に乗って鍛える練習をしていたある日のこと、街で綺麗に成長した幼馴染の綾歌に遭遇します。ボランティアサークルに属している綾歌は日出朗が点字ブロックの上に自転車を停めていることを注意。中学生の時以来の出会いということもあり、昔の話に花を咲かせるのでした。そしてなんと綾歌は日出朗と同じ大学に通っているとのこと。偶然遭遇した幼馴染は綺麗になっていて、しかも同じ大学でなにやら良い雰囲気に……と、なんというリア充物語! とここまでは思うのでしたが……・

 また別の日、日出朗はその日もチームの輪から離れて単独行動。「自分のタイムのことしか考えていない」と相変わらず陰口をたたかれる日出朗ですが、そんな日出朗を探しにいった常盤太陽はグラウンドで驚きの光景を目にします。日出朗は夜のグラウンドでひとり落ち葉掃除をしていたのです。思わず声をかけた常盤に対して日出朗は「滑って部員が怪我でもしたらまずいじゃないですか」と、超絶良い子な発言。

 実力があっても奢らず、群れることなく単独行動、しかも影では部員を思いやる一面も。もうここまでで大半の読者は日出朗に対する好感度がマックスでしょう。綾歌とイチャイチャやっても結構、というか幸せになってくださいとエールを送りたくなります。

 そしてここで物語の舞台は再び現在へ。太陽が走っているシーンになります。このマンガはこのように過去と現在を何度も交互に写す手法がとられているので、過去の所謂「ドラマパート」と、現在の「アクションパート」が交錯していて、読んでいて飽きないのが良いですね。

 さて、舞台は再び過去に。日出朗は1年生にして箱根駅伝の走者に選ばれるという快挙を成し遂げます。選ばれた瞬間はみんなの前で喜ばず、ひとりになったところで喜びを爆発させる日出朗。相変わらず不器用な男ですが、これが最悪の悲劇につながってしまいました。

 ある日日出朗が用具室に入ると、頭上から消石灰でできているラインパウダーが落下。誰かが日出朗を妬んでやったのでしょう。そして運が悪いことにこの消石灰は古いタイプのもので、目を失明に追い込む作用があったのです……。

 それから日出朗は徐々に視界が奪われていき、箱根駅伝の選手からも外され、どん底の日々を送ることに。果たして日出朗はどうやってこの苦難を乗り越えて、2年生で箱根駅伝のメンバーとなったのでしょうか。

 読んでいて思うのがこのマンガは構成がとにかく凄い。「日出朗の好感度をあげたところで悲劇」「先に現在を見せることで、過去編が謎解きのような役割をになうのでただのドラマじゃなくなる」などとてもよくできています。連載は早々に終了してしまいましたが、構成的にはそもそも短期連載を見越していたのかな? という感じ。『6センチの絆』は一気読みするのをお勧めしたい上質なマンガです。
(文・白子しろこ)

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