いま、地方のフリーペーパー・タウン誌がおもしろい!

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ライフスタイルの変化により、東京から地方へ移住する人も増えてきた。それと同時に、食や文化、日本の職人による手仕事の再評価など、地域への注目度も高まっている。そんな中、地方発のフリーペーパーなどのデザインにも注目が集まっている。

新刊『地域の魅力を伝えるデザイン』に注目

そんな中で発売されたのが、『地域の魅力を伝えるデザイン』(BNN新社)だ。日本全国のフリーペーパーやタウン誌の中からクオリティの優れているものを紹介している本書。代官山 蔦屋書店の建築デザインコンシェルジュ 三條陽平氏は下記のように語る。

「その土地が持っているいいものを掘り下げてみんなに知ってもらおうという取り組みのひとつだと思います。その街で住んでいたり活動していないとわからない良さがきっちりと紹介されているから、読んでいておもしろいですよね」


“地方がおもしろい”が具現化したフリーペーパー・タウン誌

また、本誌に紹介されているフリーペーパーやタウン誌は、そのクオリティの高さに驚く。

「地方自治体が制作を外部委託するのが当たり前になっている。あとは、東京で仕事をした後、地元に戻りNPO法人などで町おこしなどをする、編集できる人がそういう団体の中にいるというのが大きいことだと思います。中には、編集がマガジンハウスというものもあるんですよ。昔では考えられないくらいのクオリティのものが出てきていますよね」

地方のフリーペーパーやタウン誌の数がここまで増え、ひとつのムーヴメントが起こっているきっかけについて、三條氏は下記のように話す。

「各地方にすごくおしゃれなお店が増えてきて、そういうお店がフリーペーパーを扱っていたり発行したりしているのが盛り上がっている一因としてあるのではないのかと思います。今までは、地方のコミュニティはそれぞれが独立して存在していて繋がっていなかったんですが、いまは横と横が線でつながって大きなムーヴメントになっている。それが町おこしにも繋がっているんでしょうね。あとは、地方が注目されはじめたきっかけのひとつとしては、ナガオカケンメイさんのD&DEPARTMENTや各都道府県の魅力をデザイン的観点から選んだ観光ガイド『d design travel』という書籍の影響もあると思います。移住とか地方とかいうキーワードが出始めたのもほぼ同時期ですよね」

本書で紹介されているものの中から、三條氏が注目しているものを紹介してもらった。

名古屋がいまアツい!

三條氏の出身地でもある愛知県名古屋市も、数多くのフリーペーパーやタウン誌を発行していて、注目をしているという。

「僕も高校生まで名古屋に住んでいたのですが、保守的だし、何でもあるから名古屋で完結してしまう。名古屋は大都市で独自のカルチャーもあるはずなのに、全国的なムーヴメントにはなかなかならないんですよね。何かのカルチャーに触れて、そういうものの中に生きていきたい人は東京に出てしまうケースが多い中、名古屋にとどまって活動している人が街のおもしろさを発信していて。僕は名古屋で育ったからこそ尊敬している。だからこそ、この流れにはとても注目しています」

『SOCIAL TOWER BOOKS』(愛知県名古屋市)

名古屋市中心部のタウン誌。

「大ナゴヤ大学というNPO法人が出しているものです。名古屋に『SOCIAL TOWER PAPER』というタブロイドのフリーペーパーがあって、これは『SOCIAL TOWER PAPER vol.1〜3』を再編集したライブラリーイシューです。昔は名古屋の街のシンボルは名古屋テレビ塔だったんですが、2011 年にアナログ放送の電波塔という役割は終わっていて、今は風景の一部と成り果てている。その名古屋テレビ塔を見直し、ここから再度発信していこうという試みです」

『NAMO.』(愛知県名古屋市)

名古屋市の歴史を紐解くフリーペーパー。

「昔、名古屋の方言で『〜なも』っていうのがあったらしいのですが、今ではまったく使われていなくて忘れ去られてしまっっている。そういう方言を忘れ去るのではなくて、現在まで伝えていきたいところからこの名前をつけたらしいんですけどね。名古屋は400年も歴史があって、豊臣秀吉、織田信長、徳川家康という戦国三大武将はみんな愛知県人だったりする。本誌では、名古屋に住んでいても知らないような歴史を説明しています」

『ぶらり港町新聞』(愛知県名古屋市)

港町の情緒溢れる名古屋港エリアを紹介するタウン誌。

「名古屋には港町としての側面もあります。本誌には、港の周辺にまつわる情報が載っていて、また違った名古屋の側面を垣間見ることができると思います。」

まだある。注目の地方発のフリーペーパー

『Judd.』(鹿児島県)

鹿児島のデザインオフィス・Judd.が発行するフリーペーパー。

「これも東京からUターンした人が作っているんですが、十数年ぶりに鹿児島に戻って、住んでいたときに気付かなかった“普通”がこんなにもいいものなんだという思いから作っていると思うんですよね。鹿児島が好きなんだなというのがよくわかるんです。鹿児島はLANDSCAPE PRODUCTSの中原慎一郎さんの出身地で、GOOD NEIGHBORS JUNBOREEというフェスもやっていたり、ライフスタイルムーヴメントが起こっている町でもあります」

『TOYOOKA 67 DAYS』(兵庫県豊岡市)

志賀直哉『城の崎にて』の舞台となった温泉地・城崎温泉。その城崎温泉で有名な兵庫県豊岡市のフリーペーパー。

「豊岡市のイベントがカレンダー形式で紹介されている本書。イラストは塩川いづみさん、前田ひさえさんが描かれていますし、デザインはSOUP DESIGN・尾原さんでとてもクオリティが高い。イラストのみというのも特徴的ですね。城崎温泉には本と温泉というNPO法人があって、万城目学さんが『城崎裁判』という新作を書き下ろして、城崎温泉でのみ販売されているんですよ。表紙がタオルでできていて、中面がストーンペーパーという耐水性の紙を使っているので、温泉の中で読める本。デザインは長島りかこさん、編集は幅 允孝さん(BACH)。制作スタッフを見ても、行政がこのような取り組みに積極的なことがわかりますよね」


地域の発信するデザインは、“地域だからこそできることがある”という可能性と愛に溢れたものばかり。どこか旅に出たら、フリーペーパーやタウン誌を探してみてほしい。旅の楽しみがひとつ増えるし、その地域に住まうからこそ発信できる情報は、旅をより豊かなものにしてくれるはずだ。

(文:岡崎咲子)

【代官山 蔦屋書店】
建築・デザインコンシェルジュ 三條陽平 氏

TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで建築・デザインの担当をした後、2012年から代官山 蔦屋書店のコンシェルジュに。月に一度、建築物を見るために地方へ出かけることをライフワークとしている。今後は海外、特にニューヨークやスイスの建築を見に行くことが目標。

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