メディアクリエイター・ハイロックが語る、シンプルライフブームの時代におけるモノとのつきあい方とは?

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世界中のトピックスとモノを紹介しているウェブサイト・Fresh News Delivery。管理人・ハイロックが厳選した“モノ”“コト”のセレクトは、エッジーだけどフレンドリー。彼が手に取ったモノ、購入したモノしか紹介しないというニュートラルな姿勢により、2005年のオープン以降多くのファンを獲得し続けているメディアだ。ライフスタイルの変化や、断捨離など、モノへの価値観が多様化している昨今、何万何千ものモノを手に取ってきたモノのプロであるハイロックが考えるモノのあり方とは何だろうか。彼の経歴とともに話を聞いた。

ルーツは文房具とアメリカンカルチャー

——ハイロックさんがモノに興味を持ち始めたきっかけは?

僕らが小学生のころ、文房具がすごく流行っていたんですよ。ボタンを押すとルーペが飛び出したり、鉛筆が飛び出したりする多機能筆箱、なめ猫のカンペンケース、カップヌードルの消しゴムなど、ちょっと異色なものが流行っていたんです。そういうものがとにかく好きでした。通っていた小学校の前に文房具屋さんがあったので、毎朝必ずチェックしてから登校して、友達より先に新しいものを買って自慢していました(笑)。

その後、90年代の裏原宿ブームの少し前、高校生の頃になると、「Levi’s(リーバイス)」のジーパンに「RED WING(レッドウィング)」のブーツを履いたり、コカコーラやマクドナルドなど、アメリカの文化への憧れが出てきて。特に洗剤やシャンプーなどのアメリカの生活用品のパッケージが好きで、家じゅうの生活用品をアメリカ製のものにしていました。当時は単純にデザインとして英語がかっこいいと思っていて、アメリカの文化のポップでわかりやすいところにすごく惹かれていったんだと思います。あとは、時代的に、『ポパイ(POPEYE)』などアメリカの文化を特集する雑誌もすごく多かったので、影響されたんです。人物で言うと、所ジョージさんのライフスタイルに憧れたりもしていました。

A BATHING APE®での仕事と「Fresh News Delivery」の立ち上げ

——A BATHING APE®に入社するまでの経緯を教えてください。

最初は、どうやったらアメリカに行く仕事ができるかという逆算的な考え方で、群馬・前橋に古着屋をオープンしたんです。そうしたら、月に一回買い付けでアメリカには行けるぞと(笑)。その時点で自分のやりたいことはできていたんですが、3年くらい繰り返していると飽きてきてしまったんです。当時、営んでいた古着屋の近くにA BATHING APE®などの裏原宿ブランドを扱うセレクトショップがあって、そこの社長にもすごく影響を受けていたので、古着屋をやめてその会社に入ったんです。そこでは、主にオリジナル商品のデザインをやっていましたね。あとは、趣味で友達のイベントのフライヤーを作ったり、ステッカーを作ったり、名刺のデザインをしたり。ただ、今思うと本当におままごとレベルで、デザインにもなっていなかったですけどね。

そのお店で取り扱っていたこともあり、「A BATHING APE®」の方々とも仲よくなって、よく遊んでいたんですね。フライヤーなどを作っている技術を見てくれていたのか、「A BATHING APE®」のレディースライン「BAPY(ベイピー)」の社長からお誘いをいただいたんです。ただ、当時20代後半で、群馬で生計も立っていたから、東京に出るつもりなんてなかったんですよ。けれど、2ヶ月くらいずっと熱心に誘っていただいて、次第に自分のことをこんなに必要としてくれるタイミングなんてもうないだろうなと思いはじめて、上京することを決心したんです。「BAPY」や「A BATHING APE®」での経験は、その時期に今の自分のベースができたと言っても過言ではないくらい影響を受けましたし、いい勉強をさせてもらいました。今までやっていた仕事とは比べものにならないくらい物事の本質を貫いて製品作りをしている。その深さが全然違ったんです。

——特にNIGO®さんには大きな影響を受けられたそうですね。

そうですね。古着屋をやっていた時期に、NIGO®さん、藤原ヒロシさんなどの裏原宿のカルチャーが出てきたんです。彼らのモノの紹介の仕方が、自分が執着していたものと全く違う軸で見ていたんですよね。独自のセレクトで、自分の理念の下に選んでいるのが感じられたんです。僕は、とにかくアメリカのもの、英語のものとしか考えていなかったから、彼らの視点にすごく衝撃を受けて、次第に自分自身の方向性が変わっていったんです。

「BAPY」のときはNIGO®さんと一緒に仕事はしていなかったんですが、「BAPY」がブランド終了するタイミングでNIGO®さんと話して、本部のウェブの事業部に移ることになったんです。NIGO®さんの能力って、デザイン力はもちろん、人をみる眼がすごくあると思うんです。僕もNIGO®さんにお話をいただくまで趣味でやっていたウェブを仕事にするとは思っていなかったんだけど、ウェブの事業部に入ってから、次第にウェブにシフトしていったんです。

——「Fresh News Delivery」を立ち上げたのはいつ頃なんですか?

「BAPY」に入るちょっと前に立ちあげたんです。その時、どうやって自分のウェブページを表現しようかなと考えていたんです。例えば人と出会ったときに、人となりを確認するじゃないですか。あの絵が好きとか、あれを持ってるとか、そういうことで共通点を見出して仲良くなっていく。だから、自分をプレゼンテーションするときに自分の好きなものを淡々と紹介していくサイトが一番わかりやすいかなと思ってはじめたんです。あともうひとつは、雑誌の巻頭にある新作紹介などのトピックスページの雰囲気もすごく好きだったので、その複合的な考えの結果が「Fresh News Delivery」なんです。

“モノを持たない身軽なライフスタイル”を軸にしたモノ選び

『I LOVE FND』

——2012年に刊行した著書『I LOVE FND』以降、モノに対する新たな価値観は生まれましたか?

昔はひとつのアイテムを色違いやデザイナー違いで複数持っていることが多かったんですが、今はナンバーワンを決めるようにしています。あとは、モノを単体で見るのではなくて、全体でモノを見る。例えば持ち歩くものであれば、シャーペン、ボールペン、ハサミ、カッター、定規のセットのバランスでモノを見るんです。それをもう少し大きな視点にすると、モノ自体を風景から選ぶ。例えば、リビングのこの場所でコーヒーを飲むのであればこのコーヒーカップとか。だから、インスパイアされるのは、モノ自体というよりは、映画や海外ドラマのワンシーンが多いんです。そういうふうに、使っている自分まで想像してかっこいいかをまず考えるのが、モノ選びの最初のステップ。

次にGoogleで画像検索をするんです。僕はモノを100%見た目で選んでいるので、例えば「赤 スツール」などで検索して出た何千もの画像の検索結果から、いいものだけURLをクリップしていって、絞っていく。絞ってその場で選びきれなかったらお店に行く。その後にスペックで勝負するんです。ある程度のブランドの冠を持っていて、ある程度の金額を出せば、いまの時代悪いものなんてそんなにないんですよ。だから、案外スペックは考えなくても大丈夫。逆に、造形美が優れたものだと機能もいいんですよね。Apple製品が示しているように。各ブランドもそういう考え方にシフトしていっていますよね。

——今、モノとのつきあい方で一番大事なことは何だと思いますか?

やはり、近距離で見ないで少し引いた視点で見ることですかね。ひとつのものだけが入れ替わっても何も生活は変わらないけれど、広い視点で自分のライフスタイル全体をデザインしていくという気持ちでモノを集めていく。そうするとおのずと必要なものも見えてくるし、持ったときに愛着も沸くし、自分のスタイルもかっこよくなる。断捨離も言葉だけがミスリードしているような気がして。モノを減らせば断捨離だと思っている人もいると思うけど、そうではなくて感覚を研ぎすましていくことだと思うんです。だから、そこだけ読み違えないように提案できたらいいなと思っています。僕は、やはり究極はモノを持たない身軽なライフスタイルが一番かっこいいと思っているんです。僕がやっているのは、それが根底にあるモノ選びなんですよね。それは常に自分の心に持っている自分のポリシーで、それを軸にモノを選んでいくというふうに気持ちが変わってきました。

——最近購入したモノの中でお気に入りは?

最近ハサミの入れ替えがあって。HENCKELS(ヘンケルス)のハサミは一目ぼれをしました。あとは、Supeface Pro。一番すごいと思うのは、タブレットでIllustratorなどのソフトも使えること。デザインってマウスやタブレット、キーボードを使ってやりますよね。それはテクノロジーとしては上のことをやっているんですが、人間の行動としては機械に合わせて部分があると思うんですね。デザインってかつては画用紙とペンで行っていたもので、Surface Proだと、タブレットが画用紙、タッチペンが鉛筆のかわりになる。テクノロジーの進化によって人間の本来の行動に戻っている気がするんですよね。それが今すごく新鮮なのと、未来の可能性を感じるんです。少し前まではテクノロジーの進化って単に珍しいことであったり、便利だけどどこか人間が合わせないといけない部分ってあったと思うんですけど、今やっとテクノロジーが生活の中に入ってくるようになったと思うんです。だから、ガジェットもますますおもしろくなってきました。

——ハイロックさんにとってモノとはなんでしょうか?

やはり自分を映す鏡ですかね。その時の心境や成長度によって選んでいるものが違うわけですよ。だから、鍵を束ねているキーホルダーや名刺ケースとかを見れば、持ち主の気質やキャラクター、趣味嗜好もわかる。モノはその人自身なのかなと思います。

(文:岡崎咲子)

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【プロフィール】ハイロック

アパレルブランド「A BATHING APE®」のグラフィックデザインを経て2011年独立。表現の場を選ばないメディアクリエイターとしてのキャリアをスタート。2014年、渋谷にLIL’RIRE CAFEをオープン。カフェでの新しいクリエイティブ表現を企画。ローリングストーン誌やファッション誌GRINDでの連載をはじめメディア各方面にてグッドデザインアイテム、最新のガジェットを紹介。著書に『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』。

Fresh News Delivery

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