「木版の良さ知ってほしい」。おいしそうなパンを作る!? 木版摺りワークショプを開催

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『パン どうぞ』(著:彦坂 有紀・もりと いずみ、講談社 刊)

2015年2月19日(木) 代官山 蔦屋書店にて、昨年10月に出版された絵本『パン どうぞ』(講談社)の刊行を記念して、木版摺りのワークショップが開催された。

『パン どうぞ』は、あんパン、ジャムパン、クリームパンなど、子どもたちがなじみのあるパンをテーマに、1ページずつそれぞれの特徴を木版画で表現した人気絵本だ。当日は絵本を手掛けた彦坂木版工房の彦坂有紀氏、もりといずみ氏の二人を講師に迎え、参加者12名が木版摺りに挑戦した。

伝統の木版画で表現する生活の品々

写真(左)彦坂有紀氏、(右)もりといずみ氏

ワークショップでは、初めに彦坂木版工房のアートディレクターの、もりといずみ氏が同絵本を朗読。続いて同工房木版作家の彦坂有紀氏が、さまざまな作品例とその製法を見せながら、木版画の魅力を解説。数種類の版を重ね、一色ずつ摺りを重ねる版画ならではの色付けの奥深さとその歴史、必要な道具や制作時のコツを紹介した。

「木版画は、その時の気温や湿度によって色の乗り方が変わります。人それぞれのセンスでも、風合いが変わってきます」と、彦坂氏。日頃からなじみのあるパンや野菜、アイスをモチーフに、摺りを重ねて質感を出していく様に感嘆の声が上がった。

なお、彦坂氏によると木版画は中国を起源とするが、版木に紙を置く場所の目印である「見当」が発明されたのは日本で、これによって多色摺りが可能になったという。また、日本語の「見当がつかない」という表現は、この紙を版木に当てる印の「見当」に由来するという。

2版の重なりでパンのシワが登場

続いて彦坂氏は、『パン どうぞ』に掲載されている版画「ロールパン」と「かじったジャムパン」の2種類の制作工程を披露した。参加者は、希望する一種類を選び、制作に挑戦した。

ロールパン(全2版)

1. パンの中央部分を刷る

パンの部分の版木に水を垂らし、刷毛をクルクルと回転させて均等に湿らせる。水性絵具を乗せ、刷毛で色を伸ばす。パンの膨らみのグラデーションを出すため、上方は絵の具を多めに乗せる。また、下方は後ほど、布で絵の具を拭き取る。
※水を多くするとしっとりと、少なくするとザックリと焼かれた印象のパンになる。

印(見当)に合わせて和紙を版木に当て、シート(トレーシングペーパー)を乗せる。片手で握るようにバレンを持ち、シートの上からクルクルと回転させて、絵の具を和紙に転写させる。

水性絵具の色を刷毛で伸ばす

バレンを回転させて和紙に転写

1版目の摺りの完成

2. パンの左右の部分を刷る

1と同様の手順で、版木に絵の具を乗せて和紙に転写する。
※絵の具が1版目と同じ濃さになるように気を付ける。

1と2の2版がうまく重なると、重なった部分のシワが濃くなり、パンに立体感が出る。
なお、紙が乾くと縮んで版がずれてしまうため、スピード勝負だという。

版木に水を垂らし均等に湿らせる

1の版とうまく重なるように和紙を乗せる

ふんわりロールパンの完成

かじりかけのジャムパン(全4版)

1. パン中央部分を刷る

パンの部分の版木に水を垂らし、刷毛をクルクルと回転させて均等に湿らせる。中央に水性絵具を乗せ、刷毛で色を伸ばす。

 パンの部分の版木に水を垂らす

刷毛で均等に湿らせ、水性絵具を載せ色を伸ばす

1版目の摺り上がり

2. かじりかけ部分を刷る(パンの白い部分)

 かじりかけ部分の版木を湿らせ色を乗せる

1版とうまく重なるように和紙を乗せ転写する

かじりかけのパンの出来上がり

3. ジャム部分を刷る

4. いちごジャムのブツブツ感を刷る

各版にそれぞれの色を乗せ、色を重ねていく。
※細かな箇所は、色がにじまないように、転写時にバレンに力を入れ過ぎないようにする。

ジャム部分の版木に水を垂らし均等に湿らせる

ジャム、苺のつぶつぶ部分の順で転写する

完成!

本物のパンよりもパンらしく

柔らかい色合いと、木目がまるで生地のようにリアルなパンが次々に刷り上がり、「おいしそう」「本物のパンよりもパンらしい」などの感想が聞かれた。参加者全員の作品をテーブルに並べると、それぞれの個性が見て取れた。仕上がった作品は、各自が土産として持ち帰った。

「木版画は日本の伝統ですが、和紙や彫刻刀などの道具メーカーには跡継ぎが少ないそうで、道具が手に入りにくくなっています。木版の良さを、一人でも多くの人に知ってほしいという思いで活動しています。年賀状や暑中見舞いなどには、オリジナリティが出せる木版画を取り入れてみてください」と彦坂氏は提案する。

彦坂木版工房は、4月6日(月)まで、東京百貨店たまプラーザ店CLASKA Gallery&Shop "DO" にて、和菓子をテーマにした木版画展『和菓子の意匠 展』を予定。木版画ならではの柔らかい風合いを、次は和菓子の世界で表現する。

(文:山岸早瀬)

彦坂木版工房

■彦坂有紀(ひこさか ゆき)
彦坂木版工房の木版画家。
木版の素晴らしさを伝えるため展示会や木版のワークショップを行う。2012年に『パンと木版画』を自費出版。同年よりイラストレーターとしても活動をはじめ、広告や食品のパッケージ、雑貨のイラストなどで幅広く活動。

■もりといずみ
彦坂木版工房の図案家、アートディレクター。
『パンと木版画』をはじめ、彦坂有紀の描いた木版を基に書籍、雑貨などあらゆるデザインを行う。彦坂木版工房主催の展示会や「木版市」などのイベントの企画もおこなう。

彦坂木版工房 HP

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