flumpool、相対性理論CDジャケット等も手掛けるデザインユニットSPREADインタビュー

お気に入りに追加

相対性理論flumpoolのCDジャケットやアートワーク「Life Stripe」で国内のみならず海外からも高い評価を得ている、小林弘和(写真左)と山田春奈(右)によるデザインユニット・SPREAD。彼らの代表作である「Life Stripe」は、一日の行動を21色のカラーに置き換え、24時間の時間軸に沿って記録し、十人十色のストライプ模様を作り出す。環境、生命、時間などの記憶をベースとしたSPREADのクリエイティブマインドが凝縮された作品だ。長岡造形大学の同級生で、小林はグラフィックデザイン、山田はランドスケープデザインを専攻していたというふたりに共通するインスピレーションソースとは何だろうか? SPREADのクリエイティブを紐解くべく、話を聞いた。



  • 曽我部恵一の1日の行動を表した「Life Stripe」

  • Life Stripe "Baby" 750mm×375mm×30mm / Acrylic Art Print この世に生まれたばかりの人間の赤ちゃんの一日を色で表現

  • Life Stripe "Taxi Driver" 750mm×375mm×30mm / Acrylic Art Print 2日働いて1日休むサイクルで仕事をしている、24時間交代の東京のタクシードライバーの一日

  • Life Stripe "Giraffe" 750mm×375mm×30mm / Acrylic Art Print 2012年2月に野毛山動物園で生まれたアミメキリンの赤ちゃんの1日

  • 相対性理論 × Jeff Mills「スペクトル」(2015年3月22日発売)

  • SPREADの指示に基づいて人々が制作した紙片を、拡大して作品とした「Life Type」。個人の人生が抽象的な姿で現れる。2015年4月14日(火)から、ミラノの2会場で個展を実施(ILFISCHIO.Doc presents "Life Type"、OBR presents "Life Type / Life Stripe")

  • 大自然と人間の関わりをコンセプチュアルに表現した「ビクトリノックス」のスペシャル・コレクション「VICTORINOX TOMO EARTH COLLECTION 2015」

  • 撮影:ITO

  • 撮影:ITO

  • 工場の祭典 撮影:Jingu Ooki

  • 工場の祭典 撮影:Jingu Ooki

  • Life Stripe個展の様子 撮影:Takumi Ota

  • Life Stripe個展の様子 撮影:adriano a. biondo

SPREAD誕生のきっかけは音楽

——おふたりは大学の同級生だそうですね。

小林弘和(以下、小林)「そうです。僕らは長岡造形大学の一期生で、大学で知り合いました」

山田春奈(以下、山田)「一期生だったので、最初の一年間は一学年しか学生がいなかったから、学科は関係なく交流していくという状況があって。たまたま好きな音楽が共通していて、よく話すようになったんです。コースが違うので、お互いの授業内容を話すようになって、次第に休みの日や授業が終わった後に作品を作ってみたりとか、写真を現像してみたり、制作活動を一緒にやるようになりました」

——おふたりが知り合うきっかけとなった音楽とは?

山田「いわゆる渋谷系の音楽ですね」

小林「大学に音楽の話をできる人があまりいなかったんですよ。音楽をきっかけになかよくなって、休みの日や授業が終わった後に作品を作ってみたり、遊んだりしていました。ライブにもよく行っていましたね」

山田「当時は、今みたいにインターネットから情報を得るような時代じゃなかったので、情報源は雑誌やフリーペーパー。それを求めて新潟市内に行ったり、青春18きっぷで東京に行って『dictionary』というフリーペーパーをもらってきたり。そんなことをして遊んでました。ただ、流行っているものやおしゃれなものを追っかけているというよりは、ないものを一生懸命みつけようとしている感じでしたね」

——影響を受けた雑誌やフリーペーパーは?

小林「『ROCKIN’ON JAPAN』と『BUZZ』が大好きでしたね。小沢健二の表紙の号で、表紙にコピーがないっていう号があって。それは読む用と保存用で2冊買いました。あとは、『バァフアウト!』や『米国音楽』も読んでいましたね」

山田「2011年にリリースされたflumpoolのアルバム『Fantasia of Life Stripe』でflumpoolと『Life Stripe』がコラボレーションしたんですけど、雑誌などで彼らが『Life Stripe』のコンセプトをすごく熱心に語ってくれたんですね。その雑誌が青春時代に読んでいたものだったり、当時のライターさんがインタビューをしていたりして」

小林「『あの人がLife Stripeって言ってるよ!』って(笑)。こんなに嬉しいことはないですよね」

『Life Stripe』へとつながる、音楽と日常

——当時よく聴いていたミュージシャンは?

小林「よく聴いていたのは、フリッパーズ・ギターピチカートファイブとか。あと、影響を受けたミュージシャンは曽我部恵一さんですね」

山田サニーデイサービスがすごく好きで、学生時代によく聴いていたんです。アートブックのデザインを手がけた『Sence of Wonder』という野外フェスで、『Life Stripe』を展示したのですが、せっかくなので出演者の方の『Life Stripe』も展示したいと1日の記録をお願いしたんです。そうしたら、曽我部さんが出演することがわかって、協力していただけることになったんです。サニーデイサービスのアルバム『24時』など、曽我部さんは時間や一日を歌詞にされているので、『Life Stripe』もいいと言ってくださるに違いない!と思ったんです。実際に気に入ってくださったので、すごくうれしかったですね」

『Sence of Wonder』アートブック

小林「学生時代から一日や日常というものにすごく興味があって。僕らが学生の頃に聴いていた音楽って、そういうことを歌っていたと思うんです。写真でいうと佐内正史さんが注目を集めていた時期ですが、佐内さんの写真はアイコン性はないけど、何かを感じる空気が漂っている。そういう日常や一日、生活などが『Life Stripe』に発展したというのはあるかもしれないですね」

山田「私は、小さい頃からなんとなく時間や行動に興味があったみたいです。覚えていなかったんですけど、小学校時代の友人に再会したときに、『昔から朝6時にこういうことがあって、7時にこういうことがあって……って毎朝報告してくれたよね。すごく覚えてる』って言われたんですよ。そういう感覚と、小林が音楽を通じて日常や生活に興味を持っていたという感覚がつながったんだと思います」

衝撃を受けたベネトンの広告

『COLORS Magazine』issue11

山田「あと影響を受けたものと言えば、ベネトンの広告。私は学生時代にランドスケープデザインを勉強していたのですが、風景や昔から残っている遺跡などに興味があって、よく旅をしていたんです。世界の中でも特にヨーロッパにはよく行っていて、中でもイタリアにハマッていた時期があったんです。イタリアはファッションやデザインでも歴史が深いので調べていたら、ベネトンがすごい広告を作っているらしいということがわかって。そうしたらイタリアで、人間の心臓のが3つ並んでいて、“BLACK”“WHITE”“YELLOW”という文字が書いてある広告を見て、こんな表現があるんだと衝撃を受けたんです。そのときにイタリアで買ってきた、ベネトンが刊行している『COLORS Magazine』という雑誌にすごくハマッて、毎号買っていました」

−—当時のベネトンの広告って世界的に一大センセーションを巻き起こしていて。人種問題などの社会問題をエッジーに表現した広告を多数発表していましたよね。

小林「そうですね。雑誌も広告も両方タイムリー性が必要なものなのに、ベネトンの雑誌や広告はそうではない。いつ見ても考えさせられるんですよね」

山田「ベネトンの広告や『COLORS Magazine』は、ひとつのテーマを俯瞰で見ているような感じがありますよね。『COLORS Magazine』で特に印象的だったのが、1995年のTRAVEL SPECIALという号。表紙の写真が飛行機事故みたいな写真なんですよ。旅というものに怖いイメージはないと思うのですが、ただ、これを見ても旅に行きたいと思う人は絶対にいる。隠されている部分と真実を伝えているところに衝撃を受けたんです」

デザインは社会や環境とのコラボレーション

山田「ベネトンの広告や『COLORS Magazine』のひとつの物事をいろいろな視点で見るというのは、ひとつの土地に対していろいろな人達の視点をリサーチして作っていく、ランドスケープデザインに通ずるところがあると思うんです」

小林「僕らはランドスケープデザインやランドアートにも影響を受けていますが、音楽とも似ている部分があると思っていて。例えば、今日音楽を聴いたり公園に行ったりするのと、3年後に音楽を聴いたり公園に行ったりしたときでは違う感覚とインスピレーションがある。その時々の新しさはあるけれど、公園や音楽は変わらずそこにある。そういうことがすごく素敵だと思うし、僕らはそういうものを作りたいと思っているんです。」


——最近手がけられた「VICTRINOX (ビクトリノックス)」のアーミーナイフ「VICTRINOX TOMO EARTH COLLECTION 2015」のデザインもランドスケープに由来するものですよね。

山田「そうですね。これは、地球を俯瞰してみたときに、そもそも地球自体が削られて作られた彫刻みたいだというところから発展していったんです」

小林「あと、ナイフというのは人間の最初の道具なんですよ。その起源もいいなと思って結びつけたんです。柄は、『VICTRINOX TOMO』のハサミとナイフを実際に使って、切り絵のように紙を切ったりして作ったんです。僕らのクリエイティブのはじまりは形ではないんですよ。こういう形を作りたいというよりは、音楽を聴いたときのこういう感じを作りたいとか、そういうことに近いんですよ」

山田「自分自身を俯瞰して見ることができたり、時間がつながっていくようなことが、私たちがグラフィックデザインやプロダクトデザインでやりたいと思うこと。過去を引き出して、現在につなげていくのが私たちの役目だと思っているんです。これは、私たちにとってのデザインを図にしたものなのですが、私たちデザイナーがオレンジ色の液体だとすると、紙、板、水など、液体が落ちたものによって表情が変わってきますよね。デザイナーがデザインをするというのは、こういうことだと思うんです。液体だけでは絶対に形はできない。その当たる場所によって形が変わる。クライアントワークでも作家としての仕事でも社会はある。それに必ず向かい合って、ぶつかっていないといけない」

小林「デザインやクリエイティブはすべて社会とのコラボレーションだと思っているんです。その社会がどうかによって形が変わってくる。だから、クライアントの仕事でも『Life Stripe』でも意識は一緒。『Life Stripe』は僕らの知人が引きこもりになったことがきっかけとなり、社会の中で先を見ることはあるけれど一日を振り返ることは少ないことに反応して生まれた作品ですが、クライアントワークも『Life Stripe』も自然と状況がやってきて、それに反応して生まれたことには変わりはないと思うんです」

山田「デザイナーがどういう色で、どういう粘度でいるかということに差はあるとは思いますけど、必ず落ちてぶつかっていく。社会の状況や湿度によって反応は変わるだろうし、その状況を受け入れてやっているだけなんです。だから、そういうことが目の前にあらわれたら、また新たな作品が生まれるんだと思います」

(文:岡崎咲子)

【プロフィール】

小林弘和と山田春奈によるクリエイティブユニット。2004年設立。あらゆる記憶を取り入れ、その記憶から境界を越えて「SPREAD=広がる」をするクリエイションを行う。2005年より生活の記録をストライプ模様で表現するアートワーク「Life Stripe」を展開。2012年よりイタリア・ミラノサローネにて3年連続で作品を発表。2014年にはスイス・バーゼルのRappazMuseumより招待を受けて展覧会を開催。主なデザインの仕事に、「燕三条 工場の祭典」(新潟)、相対性理論『正しい相対性理論』、flumpool『Fantasia of Life Stripe』、ストールブランド「ITO」など。2015年4月14日(火)より、イタリア・ミラノにて2会場で個展を行う。主な受賞歴にD&AD Awards、red dot design award、iF design award、Pentawards、Design For Asia Award、Good Design Awardなど多数。

この記事が気に入ったら、
いいね!しよう。

Twitterでも最新記事をチェック!

この記事を読んだ人におすすめの記事

こちらの記事もおすすめ

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

関連サイト

あなたへのおすすめ

  • あなたのT会員番号でTポイントが当たる!T-SITEナンバーくじ[T-SITE]
  • TSUTAYA TVオリジナル番組「イケメンPLANET」
  • お仕事発見T-SITE 希望のアルバイト・パート情報が見つかる!
  • TSUTAYAマンガ通スタッフおすすめ

人気の画像

  • 小倉優香、『チア☆ダン』「JETS」センター役に大抜擢!
  • 『けものフレンズ』で大ブレイクの美少女声優・尾崎由香、初の写真集を発売!
  • ナニワのブラックダイヤモンド・橋本梨菜、ヤンジャンに堂々登場
  • 有村架純、初セルフプロデュース 25歳の「今」が詰まった写真集発売
  • 可愛すぎる音大生・みうらうみ、「グラビアン魂」に初登場
  • 出口亜梨沙、“大人エロス枠”で初表紙飾る
  • 【2018年1月~4月】TSUTAYA写真集ランキング 昨年覇者・白石麻衣の座を長濱ねるが継承?
  • エロかわいい音大生・みうらうみ、再びグラビアに登場
  • 元GEM・南ななこ、初グラビアは昭和レトロな銭湯!“美バスト”を披露

TSUTAYAランキング

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST

TSUTAYA映画通スタッフおすすめ

SNS・RSS