学歴カレンダー:慶應女子、日大卒のベンチャー企業戦士に心が揺れるとき

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前回までのあらすじ

神奈川県の公立高校から、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、丸の内の大手人材会社に勤める絵理奈(28)。周りの友人たちは“恋愛対象になるのは最低でも早慶レベル"と口を揃える。彼女自身も、明治大卒の元カレからのプロポーズを断り、様々な学歴の男とのデートを試みる。

そんな折、早稲田男子・浩哉との残念なデートを経て、大手商社マンとの食事会に臨んだ。しかし、社会人デビューの東大卒・宏太に振り回される結果に。がっかりした矢先、ふいに現れた男性とは…?




女友達の結婚を喜べなくなったのは、いつからだろう?


東京での恋愛。多くの出会いはあるが、息つく暇がないと感じるのも事実だ。予定はどんどん埋まっていくのに、なかなかうまくいかない。絵理奈はそんな状況に焦っていた。

今日は三連休前日の金曜日、会社の同期4人で”肉“女子会。今回はペニンシュラ東京に入っている『ステーキ&グリル Peter』に決まった。ホテルでの女子会、皆のテンションが高まりLINEも賑わう。すると、メンバーのうちの1人が婚約者を紹介したい、と切り出した。LINEの未読メッセージがさらに溜まる。女子会と言っても、誰かしらのパートナーを紹介するのが最近の通例だ。

レストランがある24階に向かって、エレベーターの上昇と同時にテンションも一気に高まった。東京の中心を一望できる抜群のロケーションと、ラグジュアリーな内装。非日常的な空間にしばし酔いしれる。




皆揃い、シャンパンでの乾杯と共に婚約者の紹介が始まる。彼は、大手広告代理店から独立し、インターネット広告の会社を経営している社長系。女性陣に気を遣ったのか、仕事仲間だという男性を3人ほど連れて来た。

話題は、自然と婚約間近の二人の話になる。繰り返される「おめでとう」という言葉や、結婚に至るまでの経緯。そんな話を聞きながら、黙々と料理に集中する。3種類のステーキが少しずつ楽しめる「グリルテイスティング」を、赤ワインとともに1つずつ堪能する。

女友だちの結婚を素直に喜べなくなったのは、いつからだろう。結局、男性陣の顔と名前が一致しないまま会はお開きになった。


消化不良な気持ちを抱えた週末の夜。絵理奈が連絡した相手とは?


皆と別れ、1人で皇居の周りを散歩した。うまくいかない恋愛、幸せそうな二人。金曜日のこの時間の消化不良な気持ちは厄介だ。LINEの友だち一覧をスクロールしてみる。しかし、今誰かに連絡しても、この気持ちは収まらないだろう。明日は結婚式の二次会がある。このまま家に帰って明日の準備をしよう、そう思いスクロールする手を止めた。



翌日、表参道の『カシータ』に向かった。大学時代の男友達の二次会だ。新婦は長身の美人で、来ている女性陣のレベルも高い。ふと、気合を入れて選んだワンピースが恥ずかしくなった。ワンショルダーで足には深いスリットが入っている。自己嫌悪に陥ると、昨夜からの消化不良な気分はピークに達する。

余興のゲーム中、思わずLINEに目を向ける。1通の新着メッセージが表示されていた。昨夜の食事で一番遠くの席にいた啓介だった。昨夜はあまり話せなくて残念だった、と控えめな好意を感じさせる。アイコンの小さな写真を凝視しながら、朧げな記憶を呼び戻す。

確か、ベンチャー企業勤務の28歳。3人の中では一番好印象だった。同い年だし、気軽に飲む相手としてはいいかもしれない。今から表参道に来れないか誘ってみた。昨日会ったばかりの男を誘うのはそれなりの勇気がいる。すると、「了解!」と即レス。土曜日の夜、こんなにすぐに相手が捕まるとは…。少し、拍子抜けした。


土曜の夜、寂しいときにタイミングよく現れた男。彼の気になる経歴とは…?



1時間後、スパイラルビルで待ち合わせた。時刻は22時を回っている。勢いで誘ってはみたものの、初対面に近い男を待つのは緊張する。

すると、啓介が颯爽とやって来た。紺のステンカラーコートに細身のパンツ。背の高い彼によく似合っている。遅い時間に突然誘ってごめんね、そう伝えると爽やかな笑顔をこちらに向けてきた。

「二次会からだとお腹も減ってるよね。」

そう言って向かった先は、青山学院大学の近くにある『琉球チャイニーズ TAMA』だった。深夜3時までやっているので、遅い時間の食事に重宝するという。彼の言う通り、二次会ではほとんど食べていない。心遣いが嬉しかった。




彼のお勧めだと言う自家製の腸詰や琉球麻婆豆腐、そーめんチャンプルなどをどんどん頼む。店内の賑やかな雰囲気と美味しい料理。細身な見た目とは裏腹に、旺盛な食欲を見せる啓介。昨日からピンと張っていた心が緩んだ。

啓介は日大出身で、金融系のベンチャー企業に勤務。爽やかで人当たりの良い印象だが、仕事の話になると途端に顔つきが変わる。実力主義の会社で揉まれているようだ。彼のキャラクターだったら、就職活動も善戦しただろう。敢えて厳しいベンチャー企業を選んだのだろうか、その理由を聞いてみた。

「日本の大企業の役職者は、半分以上が新卒入社って聞いたことがあって。」

確かに、日本の会社はほとんどが新卒一括採用。大企業への転職も難しい。啓介はさらに続けた。

「大企業への就職が難しい自分は、違う方法で上を目指そうと思った。」

独学で経営の勉強もしており、今考えている新しいサービスをもとに起業したい、と語る。親も自営業で、会社経営というものを幼い頃から肌で感じているようだ。仕事の話、これからの話、これまでの話。生き生きと話す姿に思わず引き込まれる。周りの友人はほとんど大企業に就職したので、彼の話は新鮮だった。

閉店の時間まで話は尽きず、とても楽しい食事だった。彼も同じ気持ちだったようで、絵理奈の好きな食べ物をしきりに聞き、次回の約束を取り付けようとする。しかし、全て笑顔でスルーした。彼は恋愛対象ではない。寂しい夜に楽しく飲めた、それで充分だった。次への期待は完璧に交わしたので、もう連絡はないだろう。しかしそんな予想とは裏腹に、翌日LINEが来た。

「今度、恵比寿の『鮨 心白』に行きません?」

お鮨が好物だと話したとき、家の近くにお勧めの鮨屋があると言っていた。さすがはベンチャー企業戦士。ただでは諦めない。啓介との食事はとても楽しかった。しかし、ふと頭によぎるのは、

「恋愛対象になるのは最低でも早慶レベル。」

日大卒、心のどこかで引っかかる自分がいる、絵理奈は寝不足のぼんやりとした頭で考えた。別れてしまった元カレのことを思い出す。啓介からのLINEを既読にしてしまったが、結局返さなかった。


啓介 「デートは成功だったはずなのに、連絡が来ないのはなぜ?」


取引先の人に頼まれて行った食事会。絵理奈の顔がとてもタイプだった。婚約した二人が主役だったので当然かもしれないが、聞き役に徹していて大人しい印象だった。

見た目は明るい感じだったので、その様子が気になった。何か悩み事でもあるのだろうか。昔から困っている女の子を見ると放っておけない習性がある。

もう少し話したいと思い、翌日連絡をした。すると、彼女の方から「飲みたい」という突然の誘い。女性に誘われたら断る理由はない、即レスした。二次会終わりで少し疲れているようだったが、ワンショルダーのワンピースがとても似合っていて、素敵な人だと思った。

話していく中で、彼女は慶應出身、勤める会社も名の知れた大企業だと知った。日大卒でベンチャー勤務の自分に共通点はあるか不安だったが、驚くほど盛り上がり、とても楽しい食事だった。よく笑う姿は昨日とは別人で、連れて行ったお店も気に入ったようだ。

見た目の割に異性関係は真面目だ、と男友達にからかわれる自分に、久々に恋の予感がした。しかし、次回のデートの話をしても素っ気ない。楽しいのは自分だけだったのか。

彼女から誘われたので少し期待もあったが、台風のように突然来てすぐに去ってしまった。しかしまだ諦めたくない。翌日次のデートに誘うLINEをしたが、見事に既読スルー。昨日のデートは成功だったはずなのに、なぜだろう?

消化不良のまま時は過ぎていった。

【これまでの学歴カレンダー】
Vol.1:慶応女子と早稲田男子のファーストデート。『やさい家めい』は正解か!?
Vol.2:社会人デビューの東大卒商社マン。ちょっとやり過ぎな口説き方とは?


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この大都市で仕事をしているのだから、センス良くこの街を使い倒さないのはもったいない。
いいものを食べつくした30代半ばのビジネスエリートも納得の厳選したファインダイニングや、旬を重視するクリエイティブクラスの女性たちの琴線に触れるレストランの紹介、そしてその晴れの場にふさわしいファッションの提案など、幅広いジャンルで構成される月刊誌「東京カレンダー」から記事を抜粋してお届けいたします。

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