婚活は、ワインスクールで:30歳の女が、2段飛ばしで上質な男と出会う場所はココだった

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やみくもに婚活に励むのは、もう終わり。

ある強かな女たちは、婚活の場をワインスクールへ移した。

スクールに通うほどワインが好きな男は、高い年収を稼ぎ、洗練されたライフスタイルを送っている者が多いはずだ。

ワインの知識を深めながら、虎視眈々と男性を見定める女たち。

果たして、その思惑は実るのだろうか?




「ついに今日から始まるのね...!」

—表参道ワインアカデミー

美咲は、目の前にそびえ立つ建物を見上げ、ごくりと唾を飲み込んだ。

外資系化粧品会社に勤務する30歳の美咲。今日はワインスクール初日だが、本社との電話会議が長引いたせいでぎりぎりの到着になってしまった。

19時より1分前に教室に滑り込み、一番前の空いた椅子に慌てて座った。それと同時に、隣に座っていたショートボブの女の子がニコリと微笑み、軽く頭を下げられた。

—可愛い子だな...

それが彼女への第一印象だった。

「皆さん、それでは授業を始めましょう。」

開始時刻になり、先生が壇上に現れて簡単な挨拶をした。授業のわかりやすさとワインへの情熱、そしてその美しいルックスで学校一の人気を誇る講師である。

初回の今日は、前半の授業はオリエンテーション、続いて各自の自己紹介という順で進められ、さっそく美咲の番が回ってきた。

「フランス系の化粧品会社に勤めております。会社関係のパーティーや本社スタッフの接待などでワインを飲む機会が多く、興味を持ちました。」

それらしい入学理由を述べたが、美咲がワインスクールへの入学を決意した本当の理由、それは何を隠そう、婚活のためだった。

もちろん、ワインスクールというのは純粋にワインを学ぶ場所であり、結婚や出会いのための場所ではない。そんなことは美咲だってわかっている。

しかし、美咲が、婚活の舞台としてここを選んだのは、会社の先輩・麗子の一言がきっかけだった。


ワインスクールを婚活の場に選んだ理由とは?


高級ワインにも劣らない、スクールで出会う男たち


ちょうど1ヶ月前、美咲は麗子の誘いで、会社の近くにあるパークハイアットの『ピークラウンジ』にシャンパンを飲みに来ていた。

「美咲ちゃん、ワインスクールでの婚活って一番手っ取り早いのよ。」

通っていたスクールで出会った男性と3ヶ月で結婚を決めたという麗子はきっぱりとそう言った。

「どういうことですか、麗子さん。」

美咲はグラスに口をつけるのも忘れ、身を乗り出して麗子の話に耳を傾けた。

「ワインを愛する男性って、もうその時点で条件が保証されているの。年収、職業、ライフスタイルのセンス、海外志向、そして食の趣味。どれもそれなりのレベルよ。高級で上質なワインに釣り合うような、ね。もちろん全員じゃないから見極めが大切だけど」

そう言ってニコリと微笑み、麗子はさらに続けた。

「だからワインスクールに行けば、すでにふるいにかけられた男性ばかりと出会えるの。就職の面接でいうところの、1次、2次面接を飛ばしていきなり3次に行けるようなものよ。」

恋愛を就活に例えたがるのは、麗子の以前からの癖だ。

「美咲ちゃんみたいに見た目もライフスタイルもまあまあ華やかな子って、いわゆるフツーの男性とのお食事会に行ったところで話題が合わないし、相手からも引かれちゃうのよね。」

美咲はここ最近続いている冴えない食事会のことを思い返していた。

つい先週も張り切って参加した食事会では、開催場所が居酒屋に毛が生えた程度のダイニングバーで、テンションはガタ落ちした。その前の週は、地味すぎる男性陣から揃って「美咲さん、理想が高そうですね」と苦笑いされる始末だった。

たしかに麗子の言う通り、ワインスクールでならば不毛な食事会を繰り返すよりも、実りは多そうだ。それに詳しくはないがワインを飲むのは大好きだ。きっと勉強しておいても損はないだろう。

—よし、ワインスクールに行こう。

なんとしても今年中に結婚相手を見つけたい美咲。ワインスクールで麗子のように幸せを掴むと決意して、入学を決めたのだった。


待っていたのは、選び抜かれたかのような職業の男たち?!


30代前半の女性でも、ワインスクールでは若手でいられる


授業初日、自己紹介を終わると、美咲はクラスメートたちの顔を順に目で追っていった。ここにいるのはこれから半年間、一緒にワインを勉強していく仲間たちだ。

約30名のこのクラスは男女が大体半分ずつ。麗子が言う通り、男性は確かにそうそうたる職業の集まりで、医者や弁護士、レストラン経営者、外資系金融勤務の者などがいた。

まさに、社会の上澄みばかりを集めたような場所で、美咲のテンションは一気に高まる。

女性は30台半ばから40歳までが最も多く、美咲はこの中では比較的若手に位置するように見えた。

後半の授業がスタートし、美咲は生まれて初めての「ブラインドテイスティング」を経験した。

目の前に4つの小ぶりのワイングラスを並べ、そこに4種類のワインを注いでいく。ワインボトルは中が見えないようカバーで覆われており、番号がつけられていた。

「まずはそれぞれのワインを飲んだ感想を、隣の席の方と自由に意見交換してみましょう。」

先生の指示で、美咲は隣の席の女の子とグループワークをすることになった。最初の自己紹介で芹那と名乗った女性だ。

彼女は大阪出身の26歳で、専業主婦をしているが世界を広げたくてスクールにやってきたそうだ。好きなワインの種類や生産地についても饒舌に語り、すでにそれなりの知識を身に着けているようだった。

テイスティング用のメモをとるためのシートにも、すでにびっしりと何かを書き込んでいる。




「1番のワインは、ブルーベリーのような特徴が強いですよね。2番はブラックチェリーとビターチョコレートの香りがとれたかな。こっちはカベルネ・ソーヴィニョンじゃないかなあ。あなたの意見はどう?」

芹那に一気にまくしたてられ、ここは初級コースなのにこんなに詳しい人もいるのかと、美咲は驚いてしまった。しかし他のグループをキョロキョロと見回すと、皆お互いに何をコメントしていいかわからないといった風に顔を見合わせて苦笑いをしている。

—よかった、初心者は私だけじゃないようね。

美咲はほっと胸を撫でおろした。

芹那は、明るい髪色のショートボブに、エクステをたっぷりとつけた長いまつ毛をしたためている。専業主婦だと言ったが、どうしてなのか彼女からは家庭の香りが一切しない。そして、美咲が今まで会った女友達には無い不思議な雰囲気を持っていた。

ぼんやりそんなことを考えていると、それまで意気揚々とワインへのコメントをしていた芹那が、急に声をひそめてそっと美咲に耳打ちをした。

「ワインスクールってオバさんばっかりやね。あたしみたいな若いコあんまりおらへんし、美咲ちゃんかわいいから仲良くなりたいわ。これからヨロシクな。」

芹那の、関西訛りの甘ったるい声が耳元にふわっと響いた。

—ちょっと、変わった子なのかしら。

芹那のことはさらりと流しながら、美咲は目の前にずらりと並ぶワインはそっちのけで、上質な男たちを虎視眈々と見定めていた。


▶Next:3月5日 日曜配信
敵か味方か?謎の女、芹那の正体が明らかになる!


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