<インタビュー> FACT、シーンの異端児が語る15年と『KTHEAT』

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昨年11月29日、FACTは結成15周年記念イベント「Rock-O-Rama」を自ら主催した。

会場は幕張メッセ。これだけでも大きなニュースだが、それは「FACTが大ホールで!」という意味での驚きではない。参加した全17バンドは、若手から盟友、大先輩に至るまで、全員がライブハウス育ち。昔からライブハウスで爆音を鳴らし、今も当然のようにライブハウスで生きている。華やかな大型フェスにはあまり縁のないラウドロック、いわゆるパンク、ハードコア、メタルコア、スクリーモと呼ばれるシーンのバンドばかりが、FACTのために集結し、幕張メッセを「巨大なライヴハウス」に変えてしまったのである。

「現在フェスが多くなっているなかで、幕張メッセという場所にあのメンツが集まったことに、まず意味があります。昔からシーンを持っていて続けてきているバンドもいて、どんなジャンルであれ、どこでもライヴはできるということ、そしてこんなカッコいいバンドがいるんだぞということを見せたかった」(Kazuki/G)

15年前、シーンに居場所はなく理解者もいなかった

15年という歳月は、Kazukiに言わせれば「僕の人生の7分の3を占める」数字。それだけ続けてきたからできることも多い。メッセでのイベント開催はもちろんだが、長年のライヴで培ってきたパフォーマンスの説得力、6人編成の轟音が一瞬にして会場を掌握してしまう様子と、全員参加型でどんどん分厚くなっていくシンガロングの美しさなどは、いまやFACTだけの魅力と言えるだろう。彼らに憧れてバンドを始めた、と語る若手も現在は多い。日本のラウドシーンにおいて「FACT以降」の流れは確実にあるのだ。

「シンプルに言うと、それだけ活動してきたということなんだと思う。俺たちもいろんなバンドに影響を受けてきたから、自分たちがその流れに乗っていること自体が誇れることだと思うし、意味があると思う」(Kazuki)

15年前、メロディック・ハードコア、メタル、エモと呼ばれるバンドに憧れてFACTを結成した彼ら。90年代を振り返れば、メロディックとメタルは水と油、メロコアはシンプル・イズ・ベストという風潮が主流だったから、そこにテクニカルでスラッシーなトリプル・ギターを持ち込んだFACTは明らかに異質であり異端児だった。シーンに居場所はなく理解者もいなかったという苦労話は、過去のインタビューでもしばしば語られている。

だが00年代中盤に入ると、不思議とアメリカでFACTのようなサウンドを出すバンドが増えてきた。それがスクリーモと呼ばれるようになり、気づけばFACTは最新の流行にいち早くシンクロした日本のバンド、という状態に。それ以前から積極的に海外ツアーを行っていた彼らは、米国パンク/ラウド系の老舗レーベル「VAGRANT」と契約することができ、勢いに乗りまくるスクリーモ系バンドとともに世界に飛び出していったのだった。

「もともと好きだったものが、自然な流れで海外とリンクしたのかと思う。でも海外の活動で感じることは多かった。音楽と日常生活の距離感。特にラウドロックと呼ばれるシーンでは、日本より海外のほうが確実に距離が近い」(Kazuki)

当たり前に生活することの延長線上にある“全世界”

当たり前に生活することと、全世界を相手に激しい音楽をブチかますことは、まったくの延長線でいい。地元・茨城で暮らしながらイギリスの有名メタルフェスに出ることに違和感を覚えなくていい。そういうふうに思えるようになったのは、誰かの真似をして誰かのようになりたいと思っていなかったからでもある。もちろん「米国産スクリーモ」との類似点はある。だが、99年から始まったFACTサウンドはあくまで自分たちのオリジナルなのだ。

「やりたいことをずっとやり続けているだけで、それは今も変わらない。ただ、もともと他と同じことはしたくないという願望が強く、自分が求める音楽を探すより自分たちで創ったほうが早かった。自分一人じゃない、誰かと一緒に音楽を創ることで、新しい何かが生まれると思う」(Kazuki)

初期の頃から一貫して「“これは新しい”って思える瞬間が嬉しい」「人から“こんなの聴いたことねぇ”って言われたい」と語っていたのはもうひとりのギタリストTakahiro。彼の意見も変わらない。

「今でも変わらずその感覚は残っています。特に、今作はそれを感じてます」

前作から約一年、バンドにとって8枚目となるニューアルバム『KTHEAT』。造語のタイトルはメンバーの頭文字を取ったもので、信頼できる海外のエンジニアを起用しながらも、プロデュースは自分たちでやりきった。目指したヴィジョンはひとつ。「初期衝動の再現をしたかった」(kazuki)

荒削りでヘヴィ、そして凄まじいスピード感。15周年の貫禄を見せつけ、シンガロング・パートはより壮大かつ伝わりやすくなってはいるが、全体にはインディーズ時代を彷彿とさせる勢いを持っている。15周年を仲間たちと祝えたのは素晴らしいことだが、そこで胡座をかきたくはない。初期衝動を再現するということは、周りに誰もいなかった時期に戻るということ。ここからまた新たに自分たちのオリジナルを創っていくということだ。

「自分を信じて周りに惑わされず、自分にしか出来ないことを見つけて欲しい」(Kazuki)

アルバム『KTHEAT』、そしてFACTというバンドから伝わってくるメッセージは、まさにこの言葉に集約されている。

(文:石井恵梨子)

◆リリース情報

初回限定盤

通常盤

KTHEAT

3月4日発売

初回限定盤 [CD+DVD]:MXMM-10044 \3,560(税抜)
通常盤 [CDのみ]:MXMM-10045 \2,560(税抜)

■収録内容
[CD]
01. the way down 02. wait 03. worm 04. stick 05. swallow 06. 2-2 07. <3 attack 08. loop 09. feel 10. over 11. haze

[DVD] (初回限定盤のみ)
FACT "WITNESS" JAPAN TOUR 2014
01. new element 02. drag 03. a fact of life 04. ape 05. witness 06. error 07. What Is Your Objective? 08. Pressure 09. start from here 10. FOSS 11. slip of the lip 12. devil’s work 13. the shadow of envy 14. I hope I’m wrong 15. part of it all 16. fog 17. disclosure 18. miles away 19. terminatio

◆FACT オフィシャルサイト

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