【松岡美術館】お客様の思いがつまっている場所だから、いつまでも変わらない存在でいたい―連載最終回

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東京都白金台にある松岡美術館(ロビー)

東京都白金台にある松岡美術館(ロビー)

◆連載第1回はこちら

【松岡美術館】写真撮影や模写もOK!「小さい頃に来ておきたかった」親しみのある美術館

◆連載第2回はこちら

【松岡美術館】「今回を逃したらもう一生会えないかも」ではなくて、「またいつか会おうね」という場所

松岡美術館とは

東京都白金台の「プラチナ通り」から横道に1本入った、閑静な高級住宅街に松岡美術館はある。
この美術館の大きな特徴は何といっても、初代館長・松岡清次郎氏の収集した美術品のみで展示を構成していることだ。
コレクションを貸し出すことはあっても、借り入れは一切しない。そのような美術館は日本では珍しい。
清次郎氏の審美眼によって選び出された様々なジャンルの美術品のなかには洋画があり、中国の陶磁器があり、現代彫刻やエジプトの木棺までもが含まれる。
そんな世界各地、様々な時代の美術に触れることのできる松岡美術館。
他にも鑑賞者にとって嬉しい取り組みをされているが、運営の方々はどのような思いで仕事に取り組んでいるのだろうか?


館長の松岡さん、副館長の黒川さん、学芸員の三島さんにお話を伺い、魅力を解き明かしたい。

ーー1回目2回目とインタビューさせていただき、松岡美術館さんがお客様にとって、近しい存在と言われる所以が分かってきた気がします。お客様からそういったイメージを持たれているなかで、これから先、松岡美術館はどういった存在になっていくのでしょうか?展望などはございますか?

松岡:そうですね、松岡清次郎が収集した作品だけで企画展をつくる事に関しては、僕が館長でいるうちは変わらないと思います。パッケージの巡回展に手を出すことは禁断の果実みたいなもので、やったら松岡美術館じゃなくなってしまう。
実はうちの所蔵品のなかで、40周年を迎えた今になって、学術的な価値が再認識されたものもあるんです。展示室1にエジプトの木棺がありますが、あれも一昨年の学会で発表していただきました。松岡清次郎の審美眼のレベルが相当高かったことが、後々になって分かることも多いんですよ(笑)。

展示室1に展示されている、エジプトの木棺。この迫力は是非、実際に展示品を観て体感していただきたい。

展示室1に展示されている、エジプトの木棺。

この迫力は是非、実際に展示品を観て体感していただきたい。

だから松岡美術館としては、作品を増やすのではなくて、一つ一つの作品を掘り下げることが展望といえるかもしれません。「実はこれ、意味あるよね」というものが、これから先も出てくると思うんですよ。それを学芸員が研究し、またそれを他館の学芸員の方や、研究者の方に資料提供していくことで文化レベルをあげていきたいです。
もう一つは、他の芸術との融合ですね。例えばロビーコンサートを定期的に行っているのですが、ただ作品を観ていただくだけじゃない、音楽とのコラボレーションを提供できたらと思っています。また、今後オリジナルのアロマをデザイナーさんと組んでつくろうと考えています。ご来館されたときに、この美術館をイメージさせる香りをお客様へのウェルカムとして提供したいんです。視覚と、聴覚と、嗅覚。そういう、もっと五感を広げるようなスペースとしての松岡美術館というようにステップアップしたいと思っています。

ーー松岡美術館さんは初めてTチケットを導入した美術館ですよね。そこにはどういった背景があったのでしょうか?

松岡: こういう話をいただいて、TSUTAYAさんのような大きなところに宣伝、広報していただくメリットは大きいと思い、導入しました。絶対にNGな事項もありますが、Tチケットだけじゃなくて、結構ハードルの高い取材を受けたりもします。それをきっかけとして、うちを知らない方に一人でも多く知っていただきたいと思っていて。ご来館くださったら、絶対いいところだと思っていただける自信はあるんですよ。だから、僕としても広報手段として使わせていただこうというスタンスでした。
例えば「猫の給仕頭」のトートバッグをTチケットの特典としてつくっていただきましたが、ああいうグッズを作ることは、予算の問題があってうちでは難しい。だからつくっていただいたトートをお客様に日常で使っていただいて、猫や、松岡のロゴがいろいろなところを歩いてくれたら、宣伝になっていいなっていう考え方だったんです。

「猫の給仕頭」のトートバッグは、Tチケット入場券とセットで限定発売中。

「猫の給仕頭」のトートバッグは、Tチケット入場券とセットで限定発売中。

ーーそういったお考えから導入されたのですね。

松岡:うちを実験の場にしていただければと思っています。僕らも結果を急いでないので。実験の場というのは、館全体にも通じることなんです。QRコード解説文(詳しくは連載2回目を参照)も実験の場として取り入れたし、ロビーコンサートは武蔵野音楽大学の学生さんに演奏していただくこともあります。学生さんが経験の場として、ステップアップするためにうちを使ってくれればいいなと考えています。それに、Tチケットを導入するのであれば一番最初がいいと思っていました。他の美術館が先に始めて、それを真似するよりは、うちが最初に実施したいと思ったんです。

松岡美術館に入るまで全然美術館に興味がなかったんです。「美術館って何しに行くの?」って思っていたくらいで(笑)

ーーもう展望について十分話していただけたと思うのですが、最後になにか、これからの松岡美術館についてございますか?

松岡:そうですね。本当にうちは、変わらずにいたいです。今話したように実験の場として新しい試みをしたいとは思っていますが、その一方で、根本を変えるとお客様との信頼が壊れてしまうので。松岡美術館は40年間の歴史があって続いているところですが、僕は自分のことを、次に繋ぐつなぎ役だと思っています。松岡美術館というものを永遠に残していきたいと思ってるので、次の「松岡さん」がやるまでのつなぎ役として、バトンタッチをするまでは今のいいところをずっと踏襲していきたいですね。

ーーインタビューを通して松岡美術館さんのお話を聞いていると、変わり続ける時代のなかで、ずっと変わらない美術館でいることが魅力なのだなと思います。いつでも戻って来れるような、お客様の心のよりどころとして存在していることが大切だなと。

松岡:なぜそこまで「変わらずにいる」ことを意識しているかというと、実は僕は、松岡美術館に入るまで全然美術館に興味がなかったんです。前職ではスポーツ用のサプリメントを売っていましたし、「美術館って何しに行くの?」って思っていたくらいで(笑)。
そんな中、ここに入ってアンケートを読んでいた時、ある老婦人の方がお誕生日に書いてくださった言葉が目に留まって。「独り住まいの自分をお祝いするために、一番好きな松岡美術館に来ました。」と書いてくださっていて、僕はそれにすごく感動したんです。「ああ、こういう方々に支えていただいて、これまでこの美術館はあったんだ」と思いました。昨年40周年を迎えたときのお客様からの記念コメントにも、「松岡美術館が新橋にあった頃から来てます」、「ずっと変わらないでいて欲しい」、「来たらいつも、常設の作品に『また来たよ』って挨拶しますよ」などの言葉をお寄せいただきました。「ずっと夫婦で来ていたのですが、主人が亡くなって、私も杖を突いて歩くようになってしまいました。でも企画展の度に、主人との思い出の場所であるここへ足を運んでいます」と仰ってくださったお客様もいらして。そういうお客様のために、と言ったらおこがましいかもしれませんが、思いが蓄積されている場所を、絶対裏切っちゃいけないと思っています。やっぱり、そういう思いを知ってしまうと、ただ新しいものを取り入れて作品展示すればいいというようには思えないじゃないですか。だから、そこは変えないでいたいと思います。

左:館長の松岡治さん、右:聞き手の宮﨑

左:館長の松岡治さん、右:聞き手の宮﨑

(文:宮﨑玲子、構成:Tチケット事務局)

松岡美術館

住所 東京都港区白金台5丁目12番6号
東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」1番出口から徒歩6分
開館 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
http://www.matsuoka-museum.jp/

Tチケット取扱詳細

■チケット販売期間
~2016/9/23(金)23:59まで
■チケット料金
トートバッグ(大)セット券(一般のみ) 2,900円(税込)
トートバッグ(小)セット券(一般のみ) 2,700円(税込)
※松岡美術館所蔵のディエゴ・ジャコメッティ作「猫の給仕頭」がデザインされた、トートバッグ専門ブランド「ルートート」とコラボレーションのトートバッグ付。
チケット購入はこちら
http://matsuoka1604.tticket.jp/

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