“クラフトのまち”糸島って知ってる? 雑誌『トルテ』が贈る、職人たちの心豊かな暮らしとは

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「杉の木クラフト」溝口伸弥さん/左、「ひょうたん工房」龍石 修さん/右

「杉の木クラフト」溝口伸弥さん/左、「ひょうたん工房」龍石 修さん/右

雑貨が嫌いな人はいない。そこにあるだけで、空間に一つプラスされるだけで、どこか心踊るような気持ちになれるから不思議なものだ。

『トルテ』は、昔ながらの技術・技法を用いた伝統ある和雑貨から、新進気鋭の若手デザイナーによる最新の和洋雑貨まで、普段の何気ない日常の中で心豊かになれるちょっぴり贅沢で楽しく、美しく、機能的な雑貨たちを選りすぐって掲載する雑誌。今回は、2015年11月2日に発売されたvol.08から興味深いトピックスをご紹介する。「クラフトの聖地」と化している話題のスポットについての物語だ。

糸島の作り手たちを訪ねて

福岡県北西部にある糸島は、海と山がある自然豊かな土地。その素晴らしい環境から多くの作り手たちが移住するようになり、毎年秋には「糸島クラフトフェス」が開催されるほど“クラフトのまち”として注目を集めているという。

同誌が綴るのは、この糸島に住む作り手たちの物語だ。一例として、2人の職人をご紹介したい。彼らから生み出されるのプロダクトには、手作りならではの造形美が宿っている。そして背景もすばらしいのだ。(以下、本誌P68-72より)


杉の特性を生かしたこだわりの木工品は地元・糸島の可能性を探る

「杉の木クラフト」溝口伸弥さん:ありふれた素材でおもしろいものを作りたい

木の表面に漆を染み込ませて作り上げる“拭き漆”技法を用いた「うるしの木の葉皿」。結婚式などの引き出物としても喜ばれるそう。

まだ試作段階だという、竹製のウクレレ。表面を削ぎ落とし、溝を彫り込むことで美しい音色を奏でる。

 一歩足を踏み入れればふんわりと木の香りが漂う、ここは木工作家、溝口伸弥さんが主宰する『杉の木クラフト』の工房。大分県日田市で木工の技術を学び、8年前に糸島へと移住した溝口さんは、デザインから成形、仕上げ、漆塗りまですべてを一人でこなしている。ここ最近は、地元・糸島の間伐材である杉を用いた重箱や器作りに積極的に取り組み、その活動が注目されている木工作家だ。

溝口さんが杉材を使うのは、杉の特徴である軽くて安価で組み立てしやすいという他に、「ウォールナットやチェリーなど高級素材を使えば、よいモノができるのは当たり前。そうではなくて、手軽に手に入る杉でも何倍もおもしろくてよいものができると思っているから」という理由があるそう。「うるしの木の葉皿」は、軽くてまっすぐな木目を持ち、木肌に何度も施した拭き漆によって使い込むほどに味わい深くなってくる。また、子どもたちに人気の恐竜や昆虫の「木の工作キット」も、溝口さん自ら地元の山に出向き、ちょうどよいサイズの木の枝を剪定して組み合わせているそうだ。

元は建具屋だった建物を木工機械とともに譲り受け、小さいころからの夢だった「手でモノを作る」環境を手にした溝口さん。広い工房で黙々と作業する傍ら、近くの田んぼを借りて念願だった田植えや稲刈りにも挑戦するなどプライベートも充実している。

「一人で作業しているので、自分を律するのが一番難しいですね(笑)。でもストレスは全くないですよ。ぼくは時間がかかっても苦にならないほど夢中になれる仕事をしたい。それをずっと夢見ていますね」

糸島の豊かな自然が育む環境の中で、存分にモノづくりに取り組む。溝口さんが夢見ていたことが着実に実現しているようだ。

器のカーブに合わせてゲージを作り、それを元にロクロを回して成形。ある程 度、カタチができたら、あとはペーパーで一つひとつ滑らかにしていく。こ れが一番手間のかかる作業だとか。

器のカーブに合わせてゲージを作り、それを元にロクロを回して成形。ある程度、カタチができたら、あとはペーパーで一つひとつ滑らかにしていく。これが一番手間のかかる作業だとか。

自然の恩恵を享受し、共に生きる力を得てはじめて生まれるもの

何ともユニークな形状のひょうたんスピーカー は女性に人気。

何ともユニークな形状のひょうたんスピーカー は女性に人気。

「ひょうたん工房」龍石 修さん:専門知識もなくはじめたひょうたんスピーカー作り

レコードショップで働くなど、音楽業界に長く携わってきた龍石修さんが、ひょうたんの魅力を知ったのは7年ほど前。友人から譲り受けたひょうたんスピーカーから流れ出てくる音楽に衝撃を受けたそうだ。

「音がやわらかくて、やさしい音色がとても心地よかったんです」

ちょうど糸島に移住したばかりだった龍石さんは、自宅の畑を利用してひょうたんスピーカーを作ってみようと、専門知識もないまま、独学ではじめた。ひょうたんは3月に種を植えて、8月が収穫の時期。収穫後、3週間ほど水に漬けて腐らせ、中身や外皮を取り除いたら天日で干す。カラカラに乾燥したら、ようやくスピーカーの取り付けとなる。200個近く収穫しても、すべての条件を満たすのは10セットあればいいほうなんだとか。

スピーカーには不向きな形のひょうたんは、ランプとして販売も。カッターやキリ、押しピンで形作られたランプは、小さな穴からこぼれる灯りと薄い皮から透過する灯りが、アートのような幻想的な雰囲気を作る。このランプはスピーカーとともに、福岡のショップ「カラヴィンカ」で販売しており、世代を超えて好評だそう。

「専門知識もないままにはじめたことですけど、ずっと音楽をやってきたからできたことですね」

常に自然と向き合いながら創作活動を続けている龍石さんにとって、日々の暮らしも糸島の豊かな自然があってこそ。目の前の海で魚や海藻を取ったり、近くの田んぼで米を作ったり。大好きな自然の中に身を置き、大好きな音楽に携わる。龍石さんは糸島で誰もが憧れる贅沢な時間と仕事を手にしたようだ。

敷地の一部を利用して小屋を建て、家族そろってバーベキューなどを楽しむ。ここではニワトリも自由に過ごしている。

ひょうたんのランプ

収穫したひょうたんは3週間ほど水に漬けて中身を腐らせてから天日干しに。3日間、糸島の陽光を存分に浴びてようやく商品化となる。

ひょうたんスピーカーはやわらかい音が特徴で、環境音楽などに最適。天井に取り付けると音のシャワーを浴びているような気分に。 

こちらは7年前に作ったひょうたんスピーカーの試作1号。今も龍石さんのご自宅で使われている。

表面のアートは龍石さんの友人がゴールドのマジックペンを使って描いたもの。サイズが大きくなればなるほど、音量も大きくなり、低音が響いてくるそう。


ほかにも木工品や革小物、陶芸など、糸島の職人たちが手掛けるプロダクトは十人十色。それぞれの作品に、それぞれの物語が宿る。

何気なく暮らしているように思えて私達一人ひとりに背景があるように、日常的に何気なく使うモノにも素敵な物語があったなら。その物語に思いを馳せることで、毎日がもっと楽しくなるに違いないのだ。

同誌では、ほかにも「シアワセを身に纏うボタンとアクセサリー」特集などが掲載されているので、チェックしてみたい。

撮影: Soichi Kageyama
「杉の木クラフト」「ひょうたん工房」紹介文:Natsue Ishikura

■『トルテ』vol.08の一部

公式HP「トルテ」

■施設情報

「杉の木クラフト」
福岡県糸島郡志摩町大字師吉1015-2
Tel:092-327-5040
公式サイト

「ひょうたん工房」
福岡県糸島市志摩桜井
e-mail:kalavinkamusic@gmail.com
公式サイト

■『トルテ』購入ページ

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