雑誌『PEAKS』の今坂編集長が語る、一生、登山にハマる理由

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『PEAKS(ピークス)』(エイ出版社)編集長 今坂純也さん(いまさかじゅんや)/1967年3月生まれ。広島県出身。多摩美術大学建築科卒。建築設計業界を経験後、2年後に編集者へ転身した。ランニング雑誌『Running style』、自転車専門誌『バイシクルクラブ』編集長を兼任した後、2014年4月から登山雑誌『PEAKS』の編集長に就任。

雑誌とは世間や時代を映すものであり、その雑誌自身と言えるのが編集長という存在。編集長が変われば雑誌のメッセージやカラーもガラリと変わる。編集長を知ることは、雑誌の楽しみを知ることとイコールと言えるだろう。

そんな主張のもと、今注目すべき雑誌の裏側を紹介したいと思う。今回インタビューするのは、雪山シーズンを控える登山雑誌『PEAKS』(エイ出版社)の今坂純也編集長だ。

「『PEAKS』は僕自身。初心者から少しハマった人に、山の楽しみを伝えたい」

『PEAKS』は山ガール、野外フェス、富士登山などの山ブームが到来した2009年と時を同じくして創刊された。コアな読者層は登山歴5年以内の40~45歳前後の男性で、「ちょうど47歳の僕自身ですね」と今坂編集長。

実は『PEAKS』の編集長に就任したのは、今年の4月からだという。それまではランニング雑誌『Running style』、自転車専門誌『バイシクルクラブ』編集長を兼任。『PEAKS』が誕生したころに山登りをはじめ、読者として登山歴を重ねてきた。

今坂編集長が掲げる編集方針は、「等身大」。

「4月にリニューアルする前は完全に初心者向けでした。でも僕自身は初心者とは違う。創刊当時から読んできた僕と同じように、世間の山ブームで山登りを始めた人や『PEAKS』読者も成長している。なら、少しハマった人も読めるようにするべきだと。僕自身が知りたいことを軸にする、それが一番イメージしやすいし、読者にも伝わるはずなんです」

『PEAKS』にあるのは、“山ブームのその先”だ。

「山は歩くだけじゃない。新しい楽しみを知ってもらえれば」

山の楽しみ方というと、頂上を目指して歩き、頂上で一服したら、あとは下山…というシンプルなものを想像する人も多いかもしれない。しかし今坂編集長は言う。

「歩くだけじゃないというのを誌面で見せていきたい。山ならではのアクティビティや、道具を使った登り方とか…新しい世界を知ることで、もっともっとハマれるものなんです。山って」

特に世間では「危険ではないのか」と思われがちな雪山は、エンターテインメントの宝庫だ。

「冬は怖いと言って春から秋にしか登らない方も多いんですけど、雪山でしか味わえないこともある。例えば高尾山であれば雪が降っても他の登山者の足跡を目印にしながら登れますし、何より『雪山って空気が緊張していて気持ちいい』っていう感動があります。山にある温泉もたまらないですね」

今坂編集長自身がハマっているという冬のアクティビティも実に興味深い。

「アイスキャンディ」がある山小屋「赤岳鉱泉」は料理もおいしいらしい

“天然モノ”赤岳下の小滝でのアイスクライミング

まずは「アイスクライミング」。八ケ岳連峰・横岳の“ふもと”にある山小屋「赤岳鉱泉」には12月中旬から、鉄パイプでできた高さ約15mのタワーに水をかけて作る氷の柱、通称「アイスキャンディ」が登場する。落ちないように体をロープで支え、鎌のような形をしたアイスアックスと一本爪アイゼンという道具を使って氷の柱を攻略していく。

「駐車場から2時間ほど歩きますが、勾配は緩いので、比較的簡単に行けます。道具もレンタルできますしインストラクターもいますから、やり方が分からなくても安心です。また、滝が凍ってできる天然モノも全国にいくつかありまして、この近くにもあります。ガイドさんに案内してもらって、こういうところでやるのも楽しいですよ」

今坂編集長らが作ったイグルー。重装備でなくてOK

イグルーの中で食べたアツアツの鍋料理。吹雪そっちのけ!

次は谷川岳(群馬・新潟)の“ふもと”で行う「イグルーづくり」。北極圏で暮らすイヌイットの人々の住まい「イグルー」を、氷のブロックでドームを組み立てて作るのだ。今坂編集長を含む4人でひと晩のステイを楽しんだとか。

「外はグオーグオーって吹雪いてるんですけど、中はすごくあったかいんです。鍋食べて、ベロベロに酔っ払って、朝までグッスリ。谷川岳に来ているのに登らずに帰ってきました(笑)」

まさに“登ることを目的としない山の遊び方”を、自らが思い切り楽しんでいる。

「登山は、僕のライフワークです」

今坂編集長にとって登山は、奥さんと「同じ程度疲れ、同じ程度感動できる“唯一無二”のアクティビティ」を探して行き着いた結果だという。

もともと自転車が趣味だったこともあり、マウンテンバイクの競技・ダウンヒルやロードバイクを二人で楽しもうとしたが体力やテクニックのレベルの差が原因で断念。二人で協力してできるものとしてカヌーで瀬戸内海の島巡りもしてみたが、片方が漕がなくてもカヌーは進む…。

「二人一緒に、同じように汗流して楽しみたいけどどうしようか、と。そんな話をしていた時に、嫁さんが『家の近所の山にお散歩コースがあるから行ってみる』と、普段使いしているリュックに水筒などを詰めて出かけて。帰ってきたらすごくうれしそうに『山、気持ちいいよ』『ごはん、すごくおいしかった』といろいろ話すんです。じゃあ一緒に行こうと。体力の差はそれぞれが持つ荷物の量で埋められますから二人のスピードを同じにできますし、『登山の良さはこれだね』って話しました。こんな風に、山にどんどんハマっていった感じです」

今坂編集長にとっての登山は「ライフワーク」だという。尊敬する人は?とたずねると、特定の登山家ではなく、「老夫婦で登り続けている人」という答え。

「僕もそういう風になりたい。山で老夫婦に出会うと、僕も40年後、80代になっても今と変わらずに嫁さんとここに立っていられるかな、と考えるんです。プロの方はトレーニングしているので、登れて当たり前、みたいに思ってしまうんですが、おじいさんやおばあさんが3,000m級の山をゆっくり登っていたり、逆に小さい子が山の上にたどり着いているのを見ると、純粋にすごいなあって」

今坂編集長が伝えようとしているのは、一時の「ブーム」や「趣味」だけではない。「『PEAKS』にあるのは、“山ブームのその先”」と前述した。しかし本当は、それよりももっと先、登山を“一生かけて”楽しんでもらうことを見据えていたのだと気付かされた。

ミスター『PEAKS』、今坂編集長とともに雑誌は成長していく。今後もどんな登山の楽しみを見せてくれるのか、目が離せない。

『PEAKS』のことをもっと知りたい!

『PEAKS』がライバル誌に負けないところは?

		リニューアル後(左)、前(右)。表紙のテイスト、丸みがかったロゴ、版形を4月に一新。コンセプトも「mountain trip magazine(山旅の本)」から、道具を駆使して頂上を目指す意味を込めて「aim for the top(頂上に行こうぜ!)」に変更した

リニューアル後(左)、前(右)。表紙のテイスト、丸みがかったロゴ、版形を4月に一新。コンセプトも「mountain trip magazine(山旅の本)」から、道具を駆使して頂上を目指す意味を込めて「aim for the top(頂上に行こうぜ!)」に変更した

「既存の山の本にはないかっこ良さ、は意識しています。アイテムを紹介するときも、バックやライティングに凝って、良いアイテムを美しく、相応に良く打ち出す。あと、『山バカ』が作っていないところも逆に強み。本好きや自転車好き、サーフィン雑誌出身者など、編集部にはいろんな人間が集まっています。他のジャンルの話を山に転嫁させて、今までと違う山の本を作っている、というこだわりはあります。例えば、自転車で疲れないように走る方法を、同じく脚力を必要とする登山に置き換える。『山登りを科学する』と打ち出して、体力をセーブできる歩き方として紹介するとか」

<目からウロコ! 正しい山道具メンテナンスで楽しく登山ライフ>


『PEAKS』の世界観に合うエンタメは?

アマチュアカメラマンが趣味で撮った“ヤマMOVIE”
動画『The Trip Of Hope』

「編集部員から紹介されて、酒飲んだ後に夜中の2時くらいにひとりで観たんですね。そしたら泣いちゃって。作っている方が農家の方で、初めてお会いしたときに朝採れきゅうりをいただきました(笑)。それもあたたかい感じがしてよかったです」

生涯夢を追い続けた男の生き様を描く
映画『世界最速のインディアン』(2005)

監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード ほか

「60歳を超えてライダーとしての夢を追い続けた実在の人物バート・マンローをモデルに作られた映画。登山は生涯楽しめるものと思っているので、この主人公のように年老いてもなお、打ちこめるもののある人の豊かさを『PEAKS』読者にも持ってほしいと思いまして。山の映画や本は、そのほとんどが『厳しい』『生死にかかわる』ものばかりで、観るぶんには好きですが、山=死ではないと思うために選びませんでした。この映画、オートバイ好きでなくとも結構オススメ。一度観てほしいです」

(文:高橋七重)

雑誌『PEAKS』

山登りをやってみたいと思っている20~30代、登山雑誌になじめない40~50代の人への情報誌。「見ためはポップに、データーは正確に」をモットーに、山に関する最新情報や魅力を伝える。月刊(毎月15日発売)。最新号は「山好きが選んだ! 私の五名山、みんなの千名山」特集。11月28日にムック『山道具メンテナンスBOOK』を発売。
エイ出版社 発刊

公式サイト 

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