長い歴史を持つインドのカースト制度とインドの現状

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Photo credit: Horie Kentaro「初めての海外一人旅。導かれたのは、インドでした。〜ヴァラナシ(ベナレス)編〜」

TRiPORTライターのさとりんです。

インドと深い関係のあるカースト制度。

現在のカーストと昔のカーストとは、少し意味合いが違ってきますが、本来のカースト制度とはどのようなものだかご存知ですか? 以前はカーストで苦しむ人たちも多かったようです。しかし、インドの法律で禁止されてから徐々に変わってきたようです。

インドを訪れた友達から、「インドの人たちはあたたかい」とよく聞きます。そんな彼らの背景にはどんな歴史があったのでしょうか。

今回はそんなインドのカーストと、現在のカーストについてご紹介します。
Photo credit: Horie Kentaro「初めての海外一人旅。導かれたのは、インドでした。〜ヴァラナシ(ベナレス)編〜」

カースト制度について


インドで生まれた独特の社会的身分制度のことで、インドでは「ヴァルナ」「ジャーティ」と呼ばれています。ヴァルナには、4つの階級が存在し、上からバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラに分けられます。そしてジャーティは、カーストをさらにそれぞれの職業で細分化したものです。

始まりは、紀元前1500年頃にアーリヤ人がインドに移住するときに、征服層が3つのヴァルナを作り、先住民であるドラヴィダ人を当初の下位のヴァルナとしたことがきっかけです。

カーストの語源


インドにきたポルトガル人により、ポルトガル語で血統を意味する「カスト」から「カースト制度」と呼ばれました。その後、ヨーロッパに広まり、それがインドでも一般化されカースト集団と呼ばれています。

<ヴァルナ>


1. バラモン
ヴァルナの最高位。ヒンドゥー教やバラモン教の司祭階級で、宗教的な支配者階級の種族。世襲的にヴェーダ聖典を語り伝え、呪術的な力を持っていると言われていました。

最上位に位置していた彼らは、その権威と利権を守るために、いくつもの規制を作りました。

また、知識階級とされ、大臣や裁判官などの職業に付く人が多かったです。
2. クシャトリヤ
ヴァルナでの第二位の種族で、貴族または武士階級。クシャトリヤとは、「権力を持つ者」という意味を持ち、政治や軍事的支配をしています。王族や貴族の少数を占め、バラモンの人々と並んで支配者階級を作りあげています。
3. ヴァイシャ
ヴァルナの第3位の種族で、市民とも呼ばれています。そして、ヴァイシャまでが上位カーストとされます。

ヴァイシャは、もともと農耕や牧畜、手工業などの仕事をする庶民的な階級でした。ヴァルナには、「ヴァイシャはクシャトリヤによって喰われるもの」という言葉が存在し、ヴァイシャが生産しクシャトリヤに納めていました。

シュードラと異なる点は、ヴァイシャはバラモン教のヴェーダ聖典を学べることで、「再生族」とも言われていました。

しかし、都市住民が多くなってくると、徐々に商業の仕事を受け持つようになっていき、農民や手工業はシュードラの人の仕事になっていきました。
4. シュードラ
ヴァルナの下位カーストで、「労働者」と呼ばれています。もともとは奴隷とされた被支配者階級で、バラモン教を学ぶことも許されていませんでした。

売買されるような奴隷ではなく、自分の家族を持ち、自分たちの財産も持っています。のちに、軽視されるような職業にしかつけなくなったシュードラの人々ですが、次第にヴァイシャは売買を、農業や牧畜などの生産はシュードラの人々が行うようになっていきました。

徐々にヴァイシャに近づく人が現れてくる一方、そうでない隷従的な人々は、ヒンドゥー教の社会で不浄とされる仕事に就くようになり、そこから不可触民が生まれ、さらにヴァルナの階級外へと分けられ差別されるようになりました。
しかし、これらのカーストはあくまで「身分」のことをさすもので、経済や政治的階層に比例していないことも多いです。貧しいバラモンもいれば、裕福なシュードラもいるんですよ。

<ジャーティ>


「生まれ」「家柄」という意味を持つインドのジャーティと、「血統」という意味のポルトガル語の4種族で構成されているカーストですが、現在では同じように使われており、インドでもカーストやカースト集団と言われています。

しかし、もともとは、カースト集団(ジャーティ)は、カーストにさらにそれぞれの職業を細分化したものを指します。その種類は約3000ほどもあると言われています。

またジャーティは、異なる身分のヴァルナとの結婚を禁じた内婚集団でもあります。稀に、男性が上位であれば認められることもあったそうです。しかし、その逆で、女性が上位の場合は認められませんでした。

職業面では世襲が原則でしたが、働き口に限界があるので、その場合は自分のカーストよりも下の仕事に就くことは許されています。食事の席でも同席することができないような決まりがあるなど、生活の隅々まで規制が作られました。

また、ヒンドゥー教の観念から、上下関係が生まれました。

不可触民(ダリット)について


3500年前にアーリア人が入ってきたことがきっかけとなり、うまれたカースト制度に属さない最下位の階級の種族で、「アウトカースト」とも呼ばれ迫害を受けてきました。

「触れると穢れる人間」とされ、触れることも、近づくことも、声を聞くことも、見ることもいけないとされ、ヴァルナの人たちが使用する井戸や貯水池の使用も禁止されています。そのため、彼らが近づくと、音で彼らがいる場所を知らせたりしていました。

1950年にはインド憲法の17条が制定され、不可触民を意味する差別用語は禁止され、カーストによる差別も禁止されるようになりました。しかしまだその差別は違う形で残っています。

不可触民の子どもたち


不可触民の子供たちは、学校に行くことが難しいです。女の子の場合は就学率・出席率ともにさらに低くなります。

シャクティのダンサー


修道女のチャンドラは、インドの差別社会をなくすために「命のエネルギー」という意味の「シャクティ」から、シャクティセンターを立ち上げました。

チャンドラは、ダリット(不可触民)の少女たちを集め、太鼓を打ち鳴らして踊り、理不尽な差別に負けずに立ち向かうことを伝えました。

ここで使用される太鼓は、「タップー」といって、死を知らせるための太鼓です。長い歴史を持ち、ダリット達の苦しみや悲しみ、痛みが刻まれています。

過酷な生活や差別を強いられる日々の中で、生まれた歌やダンス。そして、激しく叩かれるタップーの音が一体化し、とても心打たれるのです。

ガンディーについて


ヴァイシャ出身のマハトマ・ガンディーは、インドの独立の父として知られています。

ガンディーは不可触制の廃止には賛成したものの、カースト制度の廃止には反対しました。つまり、ガンディーはアウト・カーストである不可触民たちをカーストに入れ、5番目のカーストに引き上げえようとしたものの、その階級に位置する人々の解放やカーストそのものの解体はしようとはしませんでした。

しかし、ガンジーはインドの独立以外にも、イギリス帝国をイギリス連邦へと変換し、植民地解放運動、人権運動により平和主義を実践するなど、世界中に大きな影響を与えた人物です。

カーストがもたらす犯罪


犯罪の内訳(2010年の32712件の犯罪より)

指定カースト、指定部族への虐待防止法違反 10513件

傷害 4376件

強姦 1349件

殺人 570件

誘拐 511件

放火 150件

公民権保護法違反 143件

強盗 75件

群盗 42件

その他 14983件
インドで発生する事件の大半が、カーストなどの階級差別による事件です。

「カースト越しのラブレター事件」では、15歳の少年が自分よりも下位の階級の少女にラブレターを送ったところ、相手と同じ階級のメンバーに拉致され、髪を刈られ、市内を引きずり回された後、少年の母の命乞いも空しく、線路に投げ込まれ少年は死亡しました。

また、違う階級同士の結婚が許されていないカーストでは、違う階級の人と駆け落ちをしたり恋をした場合、「名誉殺害」といって、自分の家庭の名誉を守るために、自分の親や親族によって殺されてしまいます。

他にも、バス車内で起きた集団レイプ事件の犯人へのきちんとした裁きを求めるための運動がおこるなど、日本では考えられない事件もあります。

カーストの現状


Photo credit: Keisuke Asami「カルカッタ」
暮らしと仕事
現在のインドでは、ここでお伝えしてきたカーストは、それほど強く残ってはいません。しいていうなら、お金持ちは権力を持ち、偉いということぐらいです。

アウトカーストと呼ばれている人たちも、溝掃除をしている人もいれば、豪邸に住んでいる人もいるなど様々です。無下に扱われることもなく普通に暮らしていますし、人によっては尊敬されている人もいます。(場所によっては差別などが少し残っているところもあります)

確かに、貧しい人達や物乞いをしてる人達にアウトカーストの人たちは多いですが、今では、カーストに関係なく出世する人もいます。

また、社会保険や雇用保険などに関しても、アウトカーストの人たちの方が若干優遇されていますし、公務員などの政府関係の職業ではアウト―カーストの人たちの雇用枠があるので、雇わないといけないように法律で決められています。
カーストとIT
急上昇しているのが、インドのIT関連の仕事。インドでIT関連の仕事が急速に成長しているのは、ITという仕事自体が新しい仕事のため、カースト内に属していないからです。

そのため、身分に関係なくITの仕事に就くことができます。
現在のカースト
以前は階級を表すことがメインだったのに対し、現在は宗教や民族のことを指します。同様に現在の「異カースト間結婚」も、違った語族や宗教同士の結婚を意味します。

また、若い人たちのカーストに対する感覚も以前とは違います。しかし、地域にもよりますし、デリーなどは保守的な街なので、今でもカーストが残っている場所もあります。

おわりに


かつては階級による差別や迫害が存在したインドですが、長い年月をかけ、新しいインドの扉が開かれようとしています。

このような独特な制度を持ち、多くの人々が流した涙や叫び、祈りが、これからのインドにどう影響を与え、どう変わっていくのか期待したいと思います。
ライター: Satoko Sumitomo

Photo by: Horie Kentaro「初めての海外一人旅。導かれたのは、インドでした。〜ヴァラナシ(ベナレス)編〜」

関連旅行記


*Daisuke Takishima「インド放浪記」

*Daisuke Tamai「India/インド」

*Horie Kentaro「初めての海外一人旅。導かれたのは、インドでした。〜ヴァラナシ(ベナレス)編〜」

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