どうやったら契約に関するトラブルを防げるの?実際にあったトラブル事例から学ぶリスクマネジメント

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どうやったら契約に関するトラブルを防げるの?実際にあったトラブル事例から学ぶリスクマネジメント

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日常生活や仕事をする中で契約に関するトラブルを防ぐためにはどのようにしたら良いのでしょうか。今回は、日常生活でのお金の貸し借りについてのトラブル事例と、取引先との納品に関する仕事上のトラブル事例を紹介し、トラブルの回避方法を法律の専門家が解説します。記事を読んだらすぐに活かせる内容となっていますので、ぜひご一読ください。

覚えておきたい契約の基礎。"契約書を作成しなくても契約は成立することがほとんど"でも...

意外と勘違いされがちですが、口約束でも契約は成立します。ただ、口約束には大きな落とし穴があります。本記事では、最初に日常生活でのお金の貸し借りについてのトラブル事例をご紹介します。

日常生活でのお金の貸し借りについてのトラブル事例

AさんとBさんは広告代理店の営業仲間です。一週間の仕事を終えた金曜日に、2人で居酒屋で飲んでいました。2人とも酔いが回り、おなかも膨れ、お会計をしようとしたときのことです。

Aさん:割り勘で5000円ずつね。
Bさん:あっ..財布を忘れた。申し訳ないのだけれど、貸してくれない?今度返すからさ。
Aさん:まじか。しょうがないな。立て替えるから来週返してね。
Bさん:すまない。助かる。

こんなやり取りがあり、AさんはBさんに5000円を貸しました。ところがBさんが週明けに5000円を返すことはありませんでした。そして、週末になってもBさんからは何の音沙汰もありませんでした。そこで、AさんはBさんに向かって言いました。

Aさん:あのさ、そろそろこの前のお金返してもらっても良いかな?
Bさん:は?何言ってんの?
Aさん:え?覚えてないの?財布を忘れたから貸してくれって言っただろ?
Bさん:いやいや、仕事が大変そうだから、今日は奢ってやるよって言ってくれたよね。
Aさん:え?割り勘だったじゃん...。

その後AさんとBさんの話は平行線で収拾がつきませんでした。Bさんは、会計時に酔っ払っていたのか、「奢ってやるよ」って言ってくれたと一点張りです。

結局、Aさんは、金額が小額だったのでお金を返してもらうことを諦めました。ただ、その後もそのことが心に残り、以前のように2人で仲良く飲みに行くことはなくなってしまいました。

どうやったら防げるの?明日から使えるトラブル回避策

このケースでは、AさんとBさんの間で、お金の貸し借りについての契約が成立しています。しかし、ここで大きな落とし穴があります。それは、契約が成立していても、それを証明することができないと、契約の効力が事実上なくなってしまうということです。

専門家が教える1ポイントメモ:
証拠(エビデンス)を残すこと

今回のケースで言えば、Aさんが、Bさんと飲んだその日に、Bさんに
「5,000円立て替えるね。すまないけど、酔っていて忘れそうだから5,000円は来週返すってLINEで送ってもらっても良いかな。」
とお願いをしてBさんからメッセージを送ってもらっていたり、Bさんに
「今日は楽しかった。さっき立て替えた5000円を返すのは来週ならいつでも良いからね。また飲みに行こう!」
とLINEでメッセージを送っていたとすれば、LINE上のメッセージが契約の成立を証明する証拠(エビデンス)となります。そして、Bさんも、証拠を見れば、「奢ってやるよ」って言ってくれたと言い続けることが難しくなるのではないでしょうか。

後にトラブルになり得るやりとりをする際には、口頭で済ませるのではなく、メールやLINE、FacebookのMessengerなどで連絡をすると、トラブルになったときに役立ちます。また、連絡によって認識を共有することができることから、トラブルを事前に防ぐことにも役立ちますので、ぜひ実践していただければと思います。

なお、来週に返すという話であれば問題となりませんが、期間が長い約束をするときは、スマートフォンのソフトウェアアップデート時などにメッセージが消えてしまうことや、保存期間の終了によりメッセージが消えてしまうこともありますので、LINEのトーク履歴をメールで送信し、保存しておくことをお勧めします。

【事例で学ぶ】仕事で起こりがちなトラブルを防ぐ方法

次は、仕事上の取引先との納品についてのトラブル事例をご紹介します。

仕事上の取引先との納品についてのトラブル事例

Cさんは、ソフトウェア開発会社のD社で営業職を務めています。入社して3年が経ち、コツコツ成果を出してきたことが評価され、最近は取引先の対応を一人でしています。

Cさんは新規で2000万円のソフトウェア開発案件を受注し、発注主であるE社との窓口を担当していました。Cさんは、案件の受注時には社内で賞賛され、意気揚々とこの業務に取り組んでいました。

この案件は、発注主であるE社にとって社運をかけた新規事業であったため、サービスリリース時には、ホテルの最上階で多数の報道関係者を招待するレセプションを開催する予定でした。

D社内で開発は順調に進行し、あとは納品をするだけという状態まで漕ぎつけ、Cさんは、E社担当者に「無事リリースできそうです。」と伝えました。

ところが、ソフトウェアの納品予定日2日前に事件は起こりました。納品前の最終品質チェックでバグが見つかり、大規模な修正が必要となったのです。

Cさん:「申し訳ありません。機能のバグが発生し、予定日に納品することができそうにありません。」
E社担当者:「それは困ります。レセプションの手配は既に終えていますし、リリースに向けたくさんの報道関係者も呼んでいるのです。レセプションまでには何としても完成させてください。」
Cさん:「承知しました。」
Cさんは、社内の開発担当者とも何度も話合い、スケジュールを遵守するよう努めました。

しかし、ソフトウェアの作り直しを終えることはできず、バグの不安を抱えたまま、レセプションを迎えることとなりました。レセプション会場にて……

E社担当者:「皆さま、大変お待たせしました!ついに新商品のデモを行ないます。これがこのサービスの売りである新機能です!…あれ…?」

何ということでしょう。結局レセプション本番でバグが発生し、多数の報道関係者を呼んだにもかかわらず新機能をお披露目することができなかったのです。

その後、E社は、レセプション本番でバグが発生したことにより多大の損害を被ったとして、D社の責任を追求すべく裁判を起こしました。

裁判の結果、D社は、開発費用の返還だけでなく、レセプション費用、広告費用など約1億円の金額支払いを命じられたのです。

最初は意気揚々とプロジェクト進行をしていたCさんも、E社からの再三の叱責と、社内での冷たい目線、自身のふがいなさから転職し、現在は別の会社で働いています。

明日から使える契約に関するトラブル回避策

納品遅れなどのスケジュールに関するトラブルは企業間取引でよく起こる代表的な事例としてあげられます。今回の契約ではこのようなトラブルを防ぐため、Cさんが社内の開発担当者や発注元であるE社の担当者と連絡を取り合い、スケジュールの遅れを生じさせないように努めることが重要になります。

しかしながら、今回のケースでCさんがこのトラブルを回避することは難しかったように思います。それでは、CさんやD社としては、どのようにしていれば良かったのでしょうか。

専門家が教える1ポイントメモ:
契約書の内容を理解し、トラブル回避策を想定しておく

今回、D社はE社に対し、納期を遵守するという契約を結んでいたため、開発費用の返還は避けられなかったように思います。しかしながら、契約書にD社のトラブルの責任を限定する条項を入れることができていれば、最終的にD社として負担する責任を軽減することはできたでしょう。

営業担当の方だと、契約書の具体的な内容までは介入せず、法務に任せることが多いかと思いますが、契約の責任を負う当事者視点を持ち、内容の理解と、起こりうるトラブル・回避策を事前に想定することが重要になります。

専門家が教える1ポイントメモ:
社内での情報共有を徹底する

Cさんとしては、大規模な修正が必要となった時点で、決裁権限を有する上司に相談し、上司が、E社の決裁権限を有する担当者と、D社とE社で締結した契約書の内容を踏まえた上で、ソフトウェアの納品やレセプションをどうするかについて話合う必要があったように思います。レセプションで問題が生じる前から、D社として真摯な対応をすることができていれば、E社から裁判を起こされる可能性を軽減することができたのではないでしょうか。

さらに、Cさんとしても、社内での情報共有を怠ると、社内評価が低下することは勿論、最悪、Cさん個人の責任が問われることにも繋がりますので、迅速な情報共有を徹底することを強くおすすめします。

【まとめ】トラブルを避けるために覚えておきたい3つのこと

いかがでしたでしょうか。本日は2つの事例をご紹介しました。実は、このほかにもたくさんの契約に関するトラブルの相談が私たちにはきています。後日また事例をいくつかご紹介しますが、トラブルの元を辿ると

① 約束を軽視し証拠を残していないこと
② 担当者が契約で生じるリスクを想定していないか、リスクを想定していてもそれに対する対処をしていないこと
③ 社内での情報共有を徹底していないこと

がほとんどです。
日常生活や仕事をする中では、本記事で説明をした3つのポイントを意識し、最初の少しの手間を惜しまず、トラブルを回避する振る舞いを心がけていきたいものです。

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金井高志
1987年慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了。89年弁護士登録。92年コーネル大学ロースクール修士課程修了、93年ロンドン大学大学院修士課程修了、96年フランチャイズとコンピュータ関連企業のための法務コンサルティングをするフランテック法律事務所を設立。武蔵野大学法学部教授、慶應義塾大学法科大学院講師。著書として、『民法でみる知的財産法(第2版)』(日本評論社、2012)、『フランチャイズ契約裁判例の理論分析』(判例タイムズ社、2005)、『ネットショップ開業法律ガイド』(編集代表)(日経BP社、2002)など多数。1963年生まれ東京都出身。

小林幸平
2010年慶應義塾大学法学部卒業後、12年東京大学法科大学院修了。14年弁護士登録。フランチャイズ及びITに関する法務サービスの提供に特化したフランテック法律事務所の一員として、ベンチャー企業や中小企業向けに法的なサービスを提供している。起業家のサポート及びドローンやロボットなどのイノベーションのサポートに特に関心がある。第二東京弁護士会知的財産権法研究会幹事、第二東京弁護士会情報公開・個人情報保護委員会幹事。1987年生まれ東京都出身。

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