TCPに応募しよう TCP式“光る”企画書の作り方

※一部、記事公開当時(2018年)の募集形式に沿った内容がございますのでご注意ください。



TCPが募集しているもの。それは映画の「企画」です。

どんなに面白いテーマや物語を考えても、それが企画書の中で
しっかりと表現できていないと、読む人へその面白さを十分に伝えられずに終わってしまいます。

つまり、面白いテーマや物語を考えることと同じくらい、
企画書の書き方や構成をしっかりと練ることは大事なことです!

しかし!企画書の書き方にはコレ!といった正解がないことも事実。
数多の企画書が応募されてくる中で、審査員の目に留まり、
どんどん読み進めたくなるような「“光る”企画書」とはどのようなものなのか!?

そこで、これまでにTCPの審査を通過してきた受賞者のみなさんや
第一線で活躍されている映画プロデューサーにインタビューをし、
企画書を書く上での考え方や工夫を公開していただきます!

企画書を書くことが苦手。。
面白い物語やアイディアはあるけど、企画書をどう書いたらいいかわからない!

という方、必見!!
“光る”企画書のヒントを探っていきましょう!

【1人目】受賞者 針生 悠伺 氏 が語る  “光る”企画書とは!?

  1. 1人目

    受賞者
    針生 悠伺 氏

最初に登場していただくのは、TCP2017受賞者の方々です。

実際にTCPに企画書を応募して、審査を通過してきた受賞から
企画書作成時に意識した点や独自の工夫などを伺いました。


針生さん

【プロフィール】
針生 悠伺  Hariu Yuji
TCP2017グランプリ
受賞作品企画:『2/1イチブンノニ(仮)』

—TCPに応募した際の企画書の構成について—

  • 1ページ目
    タイトル
  • 2ページ目
    テーマ&ログライン
  • 3ページ目
    イントロダクション
  • 4ページ目
    企画意図
  • 5ページ目
    訴求ポイント
  • 6ページ目
    登場人物
  • 7~9ページ目
    あらすじ
  • 10ページ目
    応募動機

映画の企画書を作るのは初めてでしたが、自分の企画がどうしたら伝わるかを考えていくうちにこの要素・順番になりました。
「企画意図」と「訴求ポイント」は似てしまいそうな部分だと思うのですが、「企画意図」では、 観る人にどんな気持ちになってほしいか、「訴求ポイント」はこの作品のどこに“新しさ”や“オリジナリティ”があるか、というところを意識して書きました。
また、作品の読後感やハッピーエンドなのか?バッドエンドなのか?を伝えることも重要だと思っているので、「あらすじ」では結末も含めて書きました。

—今回の企画書作成にあたって、意識した点—

針生さん

とにかく「読みやすい企画書」にすることです。
どんなにすごい企画書でも読みにくくて伝わらないのは勿体ないと思います。
文章全体の行間であったり、文字の大きさであったりを調整するのはもちろんですが、企画内容がより伝わるように、全体的なトーン、デザインも意識しました。
例えば、企画書の登場人物ページをイメージキャストでなく、イラストにしているのですが、これは、家族愛がテーマのSF作品でしたので、そのファンタジー感や温かさを伝えるためにイラストにすることで企画書全体を「絵本を観るような感じ」で読んでもらうという狙いがありました。

—企画書のブラッシュアップの仕方について—

友人や周囲の人に観てもらう、ということはやりました。
ただ、企画自体が面白い、面白くないというのは観る人の主観であったりするので、 内容がどうかというよりも、企画書自体がわかりやすいか?を中心に観てもらうようにしていました。

—TCP2018に応募を考えている人へメッセージ—

自分のオリジナルの作品で映画を作ることができるチャンスがあるのがTCP。
私のようにこれまで長編映画を作ったことのない人にも、可能性はあるので、 何か、作りたい作品がある人は勇気を出して、応募してほしいです。

【2人目】受賞者 ウエダ アツシ 氏 が語る  “光る”企画書とは!?

  1. 2人目

    受賞者
    ウエダ アツシ 氏

上田さん

【プロフィール】
ウエダ アツシ  Atsushi Ueda
TCP2017準グランプリ フィルマークス賞
受賞作品企画:『モータープール(仮)』

—TCPに応募した際の企画書の構成について—

  • 1ページ目
    タイトル
  • 2ページ目
    キャプション
    (ショートプロット、イメージビジュアル、企画概要)
  • 3~4ページ目
    登場人物
  • 5ページ目
    あらすじ
    (プロット)
  • 6~10ページ目
    脚本の書き出し

僕の書き方が一般的なものかどうかはわかりませんが、映画の企画書として最低限の要素は入っているかと思っています。
「企画概要」には意図や訴求点などもっともらしいことを一応は書くようにしてますが、そこは多少こじつけでもいいかなと(笑)。正直、根本のネタが面白くなければ、今までの経験上絶対映画化はされないので。
また、「あらすじ」は宣伝用のものとは違い、審査対象になるものなので結末までしっかり書いておくべきだと思います。

—今回の企画書作成にあたって、意識した点—

上田さん

TCPに限らずですが、映画の企画書は2枚目までが勝負だと考えています。
タイトルとイメージビジュアルと3~4行の要約したキャプション(ショートプロット)。
TCPに限らずですが、例えばTSUTAYAさんのお店には何千本ものDVDがあって、背表紙だけが見える状態で並んでいます。
その中で、「なんだろこの映画!?」って思わず、お客さんが手にとってしまうタイトルというのが理想的な映画のタイトルだと思うんです。それから表紙を見て、そのビジュアルに興味をそそられたら、裏表紙に書かれた売り文句を読む。それで借りるか借りないかの判断をされていると思うんです。
それってまさに企画書の2枚目までに集約されていることだと思っていて、それは映画の公開時もDVD化されたあとも、常に「観たいかどうか」の判断基準として引き継がれていく部分だと思っています。

—企画書のブラッシュアップの仕方について—

企画書を見直すときは、場所を変えるようにしています。例えば、喫茶店やファミレスなど、周りに人がいる環境で読み直すと、それだけで少し客観的な目線で読めたりすることもあります。
また、友人に話すようにしています。とにかく繰り返し口に出すことで、余計な部分がそぎ落とされ、内容がより明確で短く洗練されていくように思っています。

—TCP2018に応募を考えている人へメッセージ—

僕はTCP2017に3本の企画を応募しましたが、実は一番自信のなかったものが審査を通過し、準グランプリを受賞するまでに至りました(笑)。
誰にどう評価されるかは応募してみないとわからないことですし、何本でも、とにかく自分が面白いと思うことを信じて応募してみることが大切だと思います。

【3人目】受賞者 片岡 翔 氏 が語る  “光る”企画書とは!?

  1. 3人目

    受賞者
    片岡 翔 氏

片岡さん

【プロフィール】
片岡 翔  Sho Kataoka
TCP2017準グランプリ グリーンファンディング賞
受賞作品企画:『ザ・ドールハウス・ファミリー』

—TCPに応募した際の企画書の構成について—

  • 1ページ目
    タイトル
    登場人物
  • 2~10ページ目
    あらすじ
    (ロング)

当時のTCP公式サイトの募集要項に「タイトル」「登場人物」「あらすじ」は記載してくださいと書かれていたので、それしか入れていないです。
通常の企画書にあるような、ビジュアルイメージやターゲットなどは入れず、唯一、タイトルだけは少し作りこんで、作品のイメージに合うようなフォントで作成しました。
私の企画の場合はストーリーで勝負しようと考えていたので、ストレートに表現して通過できるものでないと意味がないと思っていました。

—TCPに応募した先に企画書を書く上で、特に意識、工夫した点はどんなところですか?—

片岡さん

審査なので、あらすじ(ロングプロット)が9枚になっても、読んでくれるとは思っていたのですが、
それが読みにくくて疲れてしまうのものであるとまずいと思ったので、文字の大きさや行間など、その辺りは考えて内容を詰め込みました。
また、構成としてキャッチ―なつかみを冒頭に入れ、読み手に早めに感情移入してもらうように登場人物のバックボーンも早い段階で書くなどして、どちらかというと短編小説として楽しめるように意識をしました。

—企画書のブラッシュアップの仕方について—

単純に、書いては直し、書いては直しの繰り返しです。
今回の場合は特に誰かに読んでもらうということはしていないです。まずは自分が面白いと思ったことを書かないといけないなと思っていたので。
ただ、色々な人に読んでもらって、人の意見を取り入れることも大切だと思います。

—TCP2018に応募を考えている人へメッセージ—

企画としての型、つまり今回の場合では自分だけの世界でなく商業的に向いてそうなものだったり、重すぎないものだったりというという部分は意識した方がいいと思います。
しかし、とはいえ世間はこれまでに観たことのないものを観たがっていると思います。
なので、内容的には型にはまらない面白いアイディアで勝負してほしいです。

【4人目】プロデューサー 厨子 健介 氏 が語る  “光る”企画書とは!?

  1. 4人目

    プロデューサー
    厨子 健介 氏

続いて登場していただくのは、映画の第一線で活躍中の映画プロデューサーです。

これまでに数多の映画企画書を読んできた両プロデューサーから
企画書を書く上で心がけるとことなどのアドバイスをうかがいました。


厨子さん

【プロフィール】
厨子 健介  Kensuke Zushi
株式会社セディックインターナショナル プロデューサー
『デンデラ』(11)、『一命』(11)、『忍たま乱太郎』(11,13)、『風俗行ったら人生変わったwww』(13)、『SUSHI POLICE』(16)、MIFUNE:THE LAST SAMURAI(18)
MIFUNE:THE LAST SAMURAI
(2018年5月12日より有楽町スバル座ほかで劇場公開)

—企画書の書き方や構成について—

企画は、企画書としての体裁で判断されたり、ペラ1枚だからダメ、というようなものではないです。
むしろ、1枚で収まるくらいに企画のポイントが明確になっていて、狙いがはっきりしていることが大事です。
あと、その作品のビジュアルは準備できるのであれば絶対に企画書に入れたほうがいいです。長いテキストよりも、これぞというビジュアルが1枚あった方が伝わることも多いです。

—惹かれる企画とは?—

厨子さん

個人的には読む人の頭に「クエスチョンマーク」が浮かぶものがいいと思っています。
企画をパッと読んだ時に「なにこれ?」「どういうこと?」という意外性があると、それが企画のフックになるからです。
ただ、最後まで、「クエスチョンマーク」が読み手・聞き手に浮んだままではダメなので、掴みとなるクエスチョンマークが、企画全体を説明し終えた時に、聞き手・読み手にとって思いもしない形で着地する企画というのが僕は理想的だと思います。
また、企画は「誰も考えたことのないこと」だと魅力的ですが、それは必ずしも完全オリジナルでなくてもよく、何度も扱われた題材でも誰も焦点を当てなかった角度からアプローチしているとか、今まで組み合わされたことのないものとの組み合わせとか、ストーリーの構成、撮影手法などこれまでにあまりなかったアプローチや方法論を取り入れることで、斬新な企画になることもあります。
とにかく、こんなことしたら、スクリーンの前の観客がびっくりするんじゃないか、ポップコーンを食べる手が止まるんじゃないか、そんな発想で考えると良いと思います。

—企画書を書く上で心がけること—

企画の要素だったり、書く内容をとにかく推敲し、少ない情報量でできるだけインパクトを与えるものにする、ということです。
少ない情報量で読み手にインパクトを与え、その面白さを伝えることができる企画は、映画が完成し宣伝する時にも端的にその面白さを伝えることのできます。
こうした企画の強さがあると、結果、映画全体を支えてくれます。

—TCPへ応募を考えてる方へメッセージ—

いろいろ言いましたが、言うは易し、実際に優れた企画を生み出すのは大変です。僕も日々、悪戦苦闘しています。
でも、人に話して初めて、人の目に触れて初めて、あるいは人に伝えるということを改めて考えてみることで、思いもしなかった切り口が見えたり、考えもしなかったことを思いついたりもします。
TCPへの応募を、自分の企画を伸ばす一つの機会にしてみてはいかがでしょうか。

【5人目】プロデューサー 久保田 修 氏 が語る  “光る”企画書とは!?

  1. 5人目

    プロデューサー
    久保田 修 氏

久保田さん

【プロフィール】
久保田 修  Osamu Kubota
C&Iエンタテインメント株式会社 代表取締役社長 プロデューサー
TCP最終審査員(2015~2017)
『ジョゼと虎と魚たち」(03)、『NANA」(05)、『ソラニン』(10)、『るろうに剣心』(12)、『のぼうの城』(12)、『去年の冬、きみと別れ』(18)

—企画書の書き方や構成について—

企画書の書き方に特段のルールはありません。ただ当たり前ですが人に読んでもらうものなので、書く際に「他者の視点を取り入れる」ことが大事だと思います。
例え客観性に頼らず自分の思いや考えを中心に述べる場合でも、「本当に自分はそう思っているのか」と自分の考えを検証する必要があると思います。
「ビジュアルのない文字だけの企画書」でも、それが吟味された上での必然であれば問題ありません。
また構成としては普通はまず企画意図があり、テーマやポイントなどの後にあらすじが書かれている場合が多いのですが、最近読んだ企画書では最初にあらすじがあり、そのあとに企画意図やテーマが説明されているものがありました。
これはこれでとても解りやすいと感じました。つまり決まったフォーマットは無いということです。

—惹かれる企画とは?—

久保田さん

私自身は特定のジャンルやテーマに惹かれることはありません。実際、『のぼうの城』の製作を目指した当時は時代劇に興味はありませんでした。
ただ脚本を読み終わった後に「これは映画化しなければならない」という変な義務感を持ったことは良く覚えています。
振り返ってみると自分が強いモチベーションを持った企画は、シナリオに描かれているキャラクターに魅了されるあまり、彼らに実際に「会ってみたい」という気持ちにまでなっていたのだと思います。
そのくらい企画に没入できるとやはり推進力は増しますね。

—企画書を書く上で心がけること—

企画書というか物語を作る際ですが、掴みとして特徴のある設定を設けるなどの工夫が必要だとは思います。
本来なら登場人物の基礎描写などを丁寧にしてから物語をスタートしても良いのですが、今はそこに辿り着くまでに観客に飽きられてしまう。
ですから世間に対していわゆる「フック」をかける工夫が物語上にも必要だと思います。
そもそも映画の場合、劇場まで来てもらわなくてはならないというハードルがあるので、観客への強い興味喚起が必須ですから。

—TCPへ応募を考えてる方へメッセージ—

考えた企画が本当に自分のやりたいことかということをまずは自問して欲しいと思います。
なんとなくではなく、本当にこのテーマで良いのか?こういった人物を描きたいのか?を自分に問う。これは精神的にはとても大変な作業ですが、企画の強度を上げる上で重要な過程だと思います。
これを繰り返すことで惰性や癖で思っていることが自分の中で淘汰され、その企画の客観性や普遍性が増します。企画の核となる部分が明確になっていくという感じでしょうか。
自分の中できちんとふるいに掛けた企画は、やはり他者にも強くアピールする可能性は高くなると思いますよ。